鳴海クリニック <消化器内科・内科・外科・皮膚科>

クリニックレポート(個別記事)

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「にきび」治療について思う
NO.111 2004/12/30

 皮膚科医となって50年が過ぎましたが、その前半の経験をもとに、既に皮膚病診療6巻5号(1984年)で「にきび」の治療について報告しました。
 その後、このホームページのNo.9 「にきび」の治療(2001/9/26)において、ついでNo.73 再び「にきび」の治療について(2003/10/26)、更にNo.76 「にきび」治療の新生面(2003/11/19)で「にきび」に関することをお話しましたが、今回は「にきび」治療について思うと題して、その後の経験をもとに、わたしの考え方を次のようにまとめました。

「にきび」の治療に対するわたしの考え方

 このところ「にきび」の治療法として、ケミカルピーリングをはじめとする局所療法が学会その他でよく報告されており、全身療法を細かく行うことが忘れられているように思われてなりませんが、わたしは患者さんの病態に応じた全身療法を基盤に局所療法を行うことをモットーにしております。以下、これについて述べてみたいと思います。

とくに治療の基盤となる全身療法について

1)ビタミン剤(B2、B6)の投与は静脈注射が有効
 性ホルモンの肝臓における代謝にはビタミンB2群を必要としますが、その中でもリボフラビンが重要であり、とくにその活性剤であるFADの静注が有効であるとされております。
 これによってホルモンの調整を図り、皮脂の分泌を調整されることになりますが、一方、ビタミンB6はB2との相互作用が期待され、皮脂の分泌抑制に有効とされています。

2)テトラサイクリン系抗生物質である塩酸ドキシサイクリン1日100mgの長期投与。
 これは、「にきび」の発生原因の一つであるP. acnes のリパーゼ活性の抑制効果をねらったものです。少なくとも2、3ヶ月の長期投与が必要ですが、念のため、1、2ヶ月に1回の副作用チェックをすることをお薦めします。

3)もっとプレグナンジオールの活用を(プレグナンジオールの有用性を強調)
 「にきび」と月経と問題に関しましては、このホームページのNo.73 ですでにお話しましたように、月経前悪化の原因として黄体ホルモンとの関係が考えられ、黄体ホルモンの代謝産物として尿中に排泄されるプレグナンジオールを内服しても有効なことが多いということが指摘されています。
 プレグナンジオールはもはやホルモン作用を有しない物質ですが、内服して有効なのは、おそらく黄体ホルモンと競争的に毛嚢皮脂腺系に作用して、黄体ホルモンの作用を減弱するためと思われています。また、一部は脳下垂体に作用して、性腺刺激ホルモン分泌に影響を与えることも有効な原因と考えられています。
 このプレグナンジオール6γ(ジオール錠3錠)を朝洗顔後に1日1回服用すると、大体2,3ヶ月で生理の前になっても悪化しなくなります。そして、「にきび」の新生が止まって抗生物質を中止しても多くの場合再発せず、これを見極めて治療を一応終了することにしていますが、副作用の心配は全くありません。
 また、女性の中で一般に低血圧を示し、自律神経が不安定で、所謂敏感肌の人がいますが、このような人は月経前緊張症の症状が強く、生理不順で、生理の前に悪くなりやすい傾向をもっています。このことも考えて治療しなければなりません。

4)ブロンカスマ・ベルナの販売中止を惜しむ(ブロンカスマ・ベルナ注射の意義と効果)
 「にきび」の治療にブドウ球菌トキソイドの皮内注射が有効なことは既に知られていますが、わたしはこのホームページのNo.73 すでに述べましたように、免疫療法剤であるブロンカスマ・ベルマの皮下注射を週1回行い、効果のあることを既に発表しました。
 ところが、この薬は残念なことに製造が中止され、2002年2月より販売中止になりました。

外用療法の吟味

 「にきび」の治療に際しましては、毛孔を中心とする皮膚常在菌、とくに脂質要求性の皮膚常在菌のことをも念頭において、外用療法を考える必要があると思います。
 このことに関しましては、このホームページのNo.76 ですでにお話しましたが、この中でお話しましたように、従来「にきび」の発生に重要な役割を果たしていると考えられているP. acnes(アクネ桿菌)は毛漏斗部(毛包~脂腺導管内腔の深部)に生息しており、一般に、「にきび」の治療には新キノロン系外用抗菌剤であるナジフロキサシンクリーム(アクアチムクリーム)やリン酸クリンダマイシンゲル(ダラシンゲル)がよく使用されて来ました。

 ところで、「にきび」の患者さんを診ていますと、よく前胸部と上背部に「にきび」様の丘疹が多発している患者さんに遭遇することがありますが、実際は、マラセチアによる毛包炎であることが最近わかってきました。

 マラセチアは皮膚に常在する真菌で、癜風、俗に「くろなまず」というカビによる病気の原因になるものですが、このような毛包炎の場合、真菌の胞子が毛孔(脂腺開口部の毛漏斗部)に寄生し、それの有するリパーゼという酵素によって皮脂が分解され、そうして生じた遊離脂肪酸が病変を引き起こすことになるわけです。
 マラセチアは皮脂を好んで棲息するものですが、一般に、過労やストレス、睡眠不足、過食、抗生剤、ステロイド剤の使用等によって皮脂が増加するので、それに伴ってマラセチアも増加し、炎症が惹起されやすいとされています。そこで、ケトコナゾールはこのマラセチアのリパーゼの働きを抑えることにより、治療効果が発揮されることになります。

 これまで、「にきび」の発生原因にはアクネ桿菌しか考えていませんでしたが、症例によっては、マラセチアの関与も考えられますので、上記3つの外用剤を上手に使用することが大切と思われます。これにつきましたは、本ホームページのNo.76 「にきび」治療の新生面で既にお話しました。

 一般に、「にきび」の治療には新キノロン系外用抗菌剤であるナジフロキサシンクリーム(アクアチムクリーム)がよく使用されて来ましたが、上記のような症例では、外用真菌剤であるケトコナゾールクリーム(ニゾラールクリーム)の使用により著効が得られた症例をごく最近2、3例経験しています。
 また、顔の「にきび」の症例でも、長くアクアチムクリームを使用していても治りにくい症例に、ニゾラールクリームを使用(場合によっては併用)して非常によくなった症例も経験しています。

 以上のことから、一見「にきび」と思われる場合でも、症状により、または経過により、この両者をうまく使い分けることの必要性を痛感しています。

理学療法その他

・とくに治り難い部位にソフトレーザーの照射を行って効果をあげています。
 照射条件: 治り難い皮疹に対し1ヶ所に1回・1000mwで30″を1~2週間ごとに照射。

・その他、全身状態や食べ物に注意することも大切で、夜更かしや睡眠不足なども注意して指導しています。

 以上、少なくとも30年以上にわたる「にきび」の治療経験に新治験を加えてお話ししましたが、上述の方法、即ち、注射、内服、外用並びに理学療法の併用により、大体発疹がなくなるまで週1回の治療で一応2~3ヶ月を目途に治療することをおすすめします。
 しかし、人によっては長くかかる場合もありますが、決して外用療法のみで治るものではありません。

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