鳴海クリニック <消化器内科・内科・外科・皮膚科>

クリニックレポート(個別記事)

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皮膚表面の生理とバリア機能
NO.115 2005/2/28

 人体の表面をおおう「皮膚」は、内臓の保護や体温調節、水分の保持など、人体の正常な維持にとても重要な役割を担っている「人体最大の臓器」です。その表面積は1,6㎡、重さは全体重の約16%を占めています。
 この皮膚の一番外側にある「表皮」の厚みはわずか0,2mm。それがさらに4つの層に分かれており、中でも最も重要な役割を果たすのが、表皮の一番外側に位置するたった0,02mmmの「角層」で、「角質層」とも言います。
 その表面は油と水とが乳化状態にある薄い膜でおおわれており、油は脂腺より分泌される皮脂により、水は角層を通して蒸発する水分と汗によって構成されていますが、このような乳剤性の膜のことを皮脂膜といっており、これが後で述べますように大変重要な役割を果たしています。
 また、皮膚の角層には大きく2つの機能があります。その一つは体内の水分の蒸発を防ぎ、乾燥肌にならないようにする保湿作用であり、いま一つは、異物が体内に入り込むのを防ぐバリア機能です。これについても後で詳しくお話してみたいと思います。

皮脂膜のはたらき



1.皮膚をやわらかくし、皮膚や毛の表面になめらかさとつやをあたえています。

2.外界よりの刺激、とくに湿度や温度の急激な変化に対して皮膚を保護しています。
 いまもし皮脂の分泌が少なくなったり、あるいは絶えず洗剤や石けんなどで洗い落とすことを繰り返しますと、この皮脂膜がなくなってしまうので、皮膚の水分は蒸発しやすくなり、その結果、上の図のように、表皮における角層の水分含有量は10%以下(正常は10~20%)となり、皮膚表面のつやはなくなり、皮膚は乾燥してきます。
 この状態を荒れ性の皮膚といっていますが、これがさらに高じると皮膚表面はがさがさになって皮がむけるようになり、かゆみを訴えたり、あるいは「ひび」や「あかぎれ」を生じて炎症を起こすことになります。

3.外界よりの物質の吸収を調節している
 皮膚を水またはお湯の中につけてすぐに引き上げると、はじめは水をはじきますが、長時間つけておくとついに皮膚は白くふやけてきます。これは最初皮膚表面の油分によって水がはじかれますが、乳剤性の膜であるためにやがては水分が皮膚に吸収されるためです。しかしながら、この場合水分は角層までで、決してそれ以下の層に侵入することはありません。
 また、皮膚の表面にクリームなどを塗布しますと、その中に含まれる成分が油に溶ける場合(例えばビタミンA、DおよびE、各種ホルモン類など)には容易に皮膚から吸収されますが、水溶性で油にとけない場合(例えばビタミンB1、B2およびCなど)には殆んど吸収されません。そして、この場合の主な吸収経路は毛孔→毛嚢となっています。

4.アルカリ中和能を有する
 皮膚の表面はPH 5,0~6,5(平均5,75)で通常酸性を呈していますが、それは汗の中に含まれている乳酸や皮膚表面の脂肪酸によって与えられるものです。
 このように皮膚の表面が酸性であるために外部より作用するアルカリをある程度中和することができます。 これを皮膚のアルカリ中和能といっていますが、強アルカリが作用すると、皮膚はこれを中和しきれずに腐食されます。

5.皮膚表面の細菌と自浄作用
 皮膚の表面は常に全く無菌状態ではありません。皮膚のひだ、毛孔、皮膚に生じた小さい傷などはいずれも細菌にとって理想的な棲みかとなっています。
 しかしながら、皮膚表面が酸性であることでこれら細菌の発育はおさえられています。ところが、皮膚が傷ついたり、ただれたりしてアルカリ性の体液が流れ出て皮膚表面がアルカリ性となり、皮膚が乾燥度を失うと、細菌が容易に繁殖して化膿しやすくなります。

※ 皮膚常在微生物について
 ヒトの皮膚表面には無数の微生物、細菌、真菌、およびウイルスなどが存在しています。表皮ブドウ球菌は好気性で毛包内腔の浅いところより皮表にかけて、アクネ桿菌はやや嫌気性で毛漏斗部(毛包~脂腺導管内腔の深部)に棲息しています。とくに後者は脂漏部位に多く分布して思春期に増加し、「にきび」の原因に関与しています。
 また、皮脂を好むカビの一種であるマラセチア菌も皮膚常在菌として知られていますが、これらはリパーゼで皮脂を分解してエネルギーを得ています。
 そして、過労やストレス、睡眠不足、過食、抗生剤やステロイド剤の使用などによって皮脂が増加するとマラセチアが増殖し、それに対する非特異的炎症によってバリアが破壊され、その結果マラセチア抗原によるアレルギー反応が惹起されることも考えられます。
 また、ニキビダニが毛包~脂腺導管内腔に寄生することがあり、細胞の崩壊した蛋白を栄養源としています。
 その殆どは無害で、皮膚と共存状態にあり、他の微生物の侵入から身体を守っています。つまり、皮脂の作用によって皮表を常にPH5.0~5.6に保ち、角質層がバリアとなって微生物の侵入を防いでいます。
 ところで、水で簡単に洗うぐらいでは常在菌を除去することは難しいですが、石けんや洗浄剤を使いすぎたり、皮膚を過度に摩擦したりすると、菌数を減らすどころか増加させてしまうことになります。
 これら常在菌のほかに表皮に付着する細菌に一過性細菌がありますが、これらの中には病原性のある場合が多いので、注意しなければなりません。

6.ビタミンD形成作用
 角層に遊離する脂質の中にビタミンD前階物質が含まれており、これが皮膚表面で紫外線の作用によりビタミンDとなり、皮膚から吸収されます。ビタミンDは骨の発育に欠くことのできないものですが、そのほか身体の健康を維持するために重要な役目を果たしています。

7.体温調節にあずかる
 周囲の温度が高くなるにつれて発汗が著しく亢進しますが、汗が蒸発する際に1ccについて580カロリーの気化熱が皮膚表面から奪われ、外界温度の上昇に伴う体温の上昇を防いでいます。
 人体において体温の80%は皮膚より失われますが、そのうちの14%は発汗によるものです。
 このほか、周囲の温度が高い場合には皮膚の血管が拡張して血流を盛んにし、皮膚表面より体温を放散しやすくし、周囲の温度が低くなると皮膚の血管は収縮して血流がわるくなり、体温の放散は減少します。
 このように、皮膚は血管を拡張させたり収縮させたりして体温を調節しています。

8.体臭のもとをつくる
 皮脂膜を構成する物質の中には、皮膚の特定部位(とくに腋の下や陰部など)においてアポクリン腺分泌も含まれることから、この中に含まれる特殊な物質、とくにカプロン酸その他の揮発性脂肪酸が特定の体臭を発する原因となっています。
 アポクリン腺の発達とその分泌の程度は遺伝子によって規定されておりますが、「わきが」の人では特にアポクリン腺の発達と分泌が盛んで、その汗の中に多量の脂肪酸が含まれていますから、これがその部の皮膚表面に存在する細菌によって分解され、特異な悪臭を発するようになるのです。

※ 「わきが」について
 アポクリン腺から分泌される汗は有機物質の濃度が高いですが、本来は無臭とされています。 シェリーらの研究によりますと、いわゆる「わきが」は、汗そのもののにおいではなく、腋窩に存在する細菌によって汗の成分が分解され、これが異様なにおいを発するようになるということがわかりました。
 また、クリグマンらの研究によって、アポクリン腺から無菌的に取り出した汗に、ある種の細菌(コリネバクテリウム属、あるいはコアグラーゼ陰性型ブドウ球菌)を加えて培養すると、典型的な腋臭を発するようになることが証明されました。
 これらの細菌はいずれも常在菌であり、いわゆる細菌感染症ではないことに注目すべきでしょう。

皮膚のバリア機能について



皮膚のバリア機能とは、次の2つの働きを指しています。
1.外からの刺激の侵入から身体の内部を守る。
2.体の中の水分が外に逃げていかないよう守る。

皮膚のバリア因子

1.皮脂膜
 皮脂腺から分泌される脂肪酸、スクワレンなどの脂質と汗腺から分泌される汗の成分が混じたうすい膜

2.NMF(天然保湿因子)
 角質細胞内のアミに酸を中心とした保湿成分

3.セラミド(細胞間脂質)
 角質細胞と角質細胞をつなぐ脂質で、皮膚の乾燥を防ぎ、アレルギーの原因となる外敵の侵入を防いでいます。
 また、年齢やストレスとともに減少することがわかっており、アトピー性皮膚炎の患者さんでは、このセラミド代謝に異状があり、セラミドの減少が指摘されています。それで、一見正常に見える部分でも皮膚は乾燥し、バリア機能の低下がみられます。
 このホームページのNo. 82(アトピー性皮膚炎とバリア機能の異状)2004/1/21をご参照下さい。

皮膚のバリア機能が低下すると

① 外部の雑菌から皮膚を守る力が衰える。
② 水分の保持能力が衰え皮膚が乾燥する。
③ 未熟な角質層ができ、角質が肥厚し毛孔をつまりやすくする。
④ 水分の揮発を防ごうと皮脂分泌が過剰になりやすい。
⑤ 皮膚が敏感になり、かゆくなったり、かぶれたりしやすい。(敏感肌)
⑥ 「にきび」ができやすく、化膿しやすい。
⑦ 一見乾燥して見えるが、ややあぶらっぽくかさつく。
⑧ 「こじわ」ができやすい。
⑨ アトピー性皮膚を呈する。

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