鳴海クリニック <消化器内科・内科・外科・皮膚科>

クリニックレポート(個別記事)

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かゆみとその対策~新しい見地から
NO.118 2005/4/15

 このホームページのNo.23 痒みのコントロール(2002/1/9)で既にかゆみ対策についてお話しましたが、今回は少し新しい見地から述べてみたいと思います。

かゆみのメカニズム

 かゆみには、表皮-真皮境界部に存在する知覚神経線維(C線維-直径1ミクロン以下という知覚神経の中で最も細い無髄神経線維)の神経終末が種々の刺激により活性化されることによって生じる末梢性のかゆみと、オピオイドペプチドがそのレセプターに結合することによって生じる中枢性のかゆみとがあります。

とくに末梢性のかゆみについて



 表皮-真皮境界部に分布しているC線維の自由神経終末(かゆみレセプター)が、物理的あるいは化学的刺激によって活性化されて生じるかゆみです。
 活性化されたC線維は脱分極を起こし、その電位の変化は神経の興奮として脊髄、視床下部を経由して大脳皮質に伝達され、かゆみとして認識されるようになります。
 かゆみレセプターを刺激してかゆみを誘発する刺激には、電気刺激、機械的刺激、温熱刺激のような物理的刺激とケミカルメディエーターによる化学的刺激があります。
 後者にはアミン類(ヒスタミン、セロトニン)、プロテイナーゼ(トリプターゼ、キマーゼなど)、ペプチド(サブスタンスP、ブラジキニン、エンドルフィンなど)サイトカイン(IL‐2)などがあります。

 かゆみにより皮膚の表皮が掻き壊される刺激(掻破刺激)を受けますと、その刺激は上図(協和発酵資料より)のように求心性にC線維を上行して中枢に伝達されますが、一部の刺激は、軸索反射(axon reflex)によって、線維の岐部から同じ線維を逆行し、表皮のC線維末端からサブスタンスP(SP)などの神経ペプチドが放出されます。
 表皮に遊離されたサブスタンスP(SP)は、血管内皮細胞の膜上に存在する、SPの主要受容体のNK1レセプターに結合し、血管を拡張させるので、紅斑が形成されます。
 また、表皮のサブスタンスP(SP)は、真皮表層の肥満細胞上のNK1レセプターに結合してヒスタミンやプロテイナーゼの遊離を促すと同時に、ケラチノサイト膜上NK1レセプターにも結合して、いろいろな炎症性サイトカインが放出されます。
 また、サブスタンスPは他の神経線維上のNK1レセプターにも結合して、神経の興奮を惹起します。
 このように、サブスタンスPは神経やいろいろな細胞に結合してかゆみを起こすことがわかってきました。

 かゆみは肥満細胞(マスト細胞)やケラチノサイトから放出される、ヒスタミン、トリプテース(プロテアーゼの一種)、ロイコトリエンB4(LTB4)などのメディエーターによって引き起こされるもので、一旦、皮膚にかゆみが発生すると、掻き壊して皮膚が刺激され、さらに痒みが増すという、悪循環を繰り返します(itch scratch cycle)。

皮膚と神経ペプチド

 神経ペプチドは、元来、神経系から産生・分泌される生理活性物質の総称で、皮膚では20種類以上の神経ペプチドの存在が知られています。
 アトピー性皮膚炎の病態・かゆみには、サブスタンスP(SP)をはじめとする種々の神経ペプチドが関与していると考えられています。

 また、神経ペプチドの一つにCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)と呼ばれる物質がありますが、血管拡張作用を持ち、表皮に存在するランゲルハンス細胞の抗原提示能を抑制する作用をもっており、これによって皮膚の末梢で神経系と免疫系が接触・連携していることが証明されました。

 サブスタンスPはストレスにより誘発される様々な行動や神経科学的反応にも関与しており、抗不安剤や抗うつ剤によってサブスタンスPの生合成の低下が引き起こされるという報告もあります。
 最近、臨床でサブスタンスP受容体拮抗薬がうつ状態や嘔吐を軽減することが報告されています。
 軸索反射に伴うかゆみにはマスト細胞依存性・非依存性経路の両者が関与していると考えられます。
 換言すれば、起痒物質にはその物質が直接かゆみ受容器を刺激する場合(直接的起痒物質)と、皮膚内でその物質が新たに起痒物質を生成し、それがかゆみ受容器を刺激する場合(間接的起痒物質)と両方ありますが、SPはその両者の性質を有する起痒物質であると言えます。

 最近開発された塩酸オロパタジン製剤(アレロック)には、従来の抗アレルギー作用(ヒスタミンH1受容体拮抗作用、ヒスタミン遊離抑制作用)の他、このサブスタンスP遊離抑制作用のあることがわかってきました。このことを再認識して、治療に応用する必要があると思うわけであります。

アレルギー性疾患の治し方~蕁麻疹・アトピー性皮膚炎を中心に

1.抗アレルギー薬を上手に使って治す。

※従来使われている抗アレルギー薬(第一世代古典的抗ヒスタミン薬、第二世代の抗ヒスタミン薬、第三世代の抗ヒスタミン薬)を中心に
※神経ペプチド、とくにサブスタンスP遊離抑制作用のある塩酸オロパタジン
(アレロック錠)による治療

2.非特異的減感作療法~非特異的変調療法を併用する。
 このことに関しましては、このホームページのNo.49 並びにNo.90 で既に述べておりますので、ご参照ください。

3.アレルギーマーチをうまく利用する。
 このことに関しましては、次回説明したいと思っています。

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