鳴海クリニック <消化器内科・内科・外科・皮膚科>

クリニックレポート(個別記事)

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当クリニックにおける外用療法の実際
NO.122 2005/5/30

軟膏の選び方と使い方

§ 湿疹様病変を中心に

 日常診療の中で最も頻繁に遭遇する湿疹様病変を対象に、その外用療法を如何に合理的に行うか、当クリニックで実施している方法についてお話ししてみたいと思います。
 病巣の性状-急性型か慢性型か、乾燥しているか、湿潤しているか-に応じて、それぞれ外用基剤を選択することになります。

急性湿疹症状に対して
 まず、急性湿疹の病状をみますと、発赤があり、多少浮腫状で、その上に水気を持った丘疹(漿液性丘疹)や小水疱が多発したりしていますが、痒みが強いので引っ掻くことにより、更に二次的な変化を起こし、爛れたり、かさぶたをつけたりします。
 これを顕微鏡で見ますと皮膚全体、とくに表皮の部分が浮腫状で、水気が多いことがわかりますが、このような状態を早く改善しようとすれば、水気を吸い上げて速く炎症を抑えるような軟膏の使用が考えられます。この目的のために考えられたのが水溶性軟膏基剤です。

※ 当クリニックにおける水溶性軟膏使用の実際 
   レスタミン亜鉛華マクロゴール軟膏(Ⅰ)
   アラントロクス軟膏(Ⅱ)
   トプシムクリーム(Ⅲ)・・・ 副腎皮質ホルモン軟膏(水溶性基剤)
 実際の使用に際しては(Ⅰ)+(Ⅱ)または、(Ⅰ)+(Ⅲ)を使用時に半々を混合して局所に厚く塗布して経過をみ、必要に応じて他の外用剤に切り替えたりしています。

慢性湿疹症状に対して
 慢性湿疹では、皮膚の表面は乾燥してきめが荒くなり、つまむと皮膚が厚ぼったく触れ、ひどい痒みを訴えます。そして、場合によっては、あかぎれが出来たりします。
 この状態を顕微鏡で見ますと、表皮の部分が肥厚し、角質が増殖し、真皮の上の部分には炎症反応がみられます。
 そこで、このような状態を早く改善しようとすれば、炎症を抑え、痒みをとめるような薬剤を浸透させ、その働きを速く発揮させることが必要です。この為には油脂性軟膏基剤や乳剤性軟膏基剤が使われますが、乳剤性基剤のものは時に刺激症状がみられ場合がりますので、注意しなければなりません。

とくに手の慢性湿疹に対して
・保湿剤の使用
・強力なステロイド軟膏を重点的に塗り添える。
・揮裂形成に対してはリントに厚くのばしたリバボチ(古典的な外用剤で現在当クリニックで使用している唯一のもの)を貼り付け、これを毎晩2~3回繰り返すと大体治癒する。

保湿剤を如何に使うか

※ 保湿剤の種類
1.尿素軟膏
尿素を10~20%含有するクリーム(ウレパール、ケラチナミン、パスタロン)
① 角質の水分保持増加作用
② 角質の溶解剥離作用
 これはとくに20%含有クリームについて言えるもので、肥厚している角質層を菲薄化し、角化皮膚をしっとりさせ、皮膚を正常化することにあります。
2.ヒルドイド軟膏
 酸性ムコ多糖類の一種であるヘパリノイド(へパリン類似物質)を有効成分とする血行促進・皮膚保湿剤(クリーム)
① 皮膚角層の水分含有量を増加させ、水分の保持能を高める(尿素軟膏に比べ高い保湿能を示す)
② 良好な経費吸収を示す(経皮的に皮内から皮下へと浸透したへパリン類似物質は、最終的に血管壁を経て血行に入るか、あるいはリンパ行性に吸収されるので、水分の保持、体液や電解質の交換に重要な役割を果たし、ガス交換、酸素の供給、組織の栄養にあずかる)
③ 血流量増加作用を示す
 したがって、この①、②、③により皮膚の栄養条件をよくすることになりますから、本当の栄養クリームとしてのはたらきが期待されます。

※ 使い方の実際
尿素軟膏の場合
 一般に指掌、足底の皮膚の角化が著しい場合、とくに角質増殖型の「みずむし」の場合、先ず尿素軟膏を先に塗って、その上から例えばハイアラージン軟膏を塗り添えることを繰り返し、治療しています。爪の「みずむし」の場合はハイアラージン液を筆で よく染み込ませるように塗り、その上から尿素軟膏を塗りこむようにしています。
ヒルドイド軟膏の場合
 その他の場合は殆んどヒルドイド軟膏を使いますが、それは上述のような作用機序から、とくにヒルドイドに注目するからです。
 刺激症状は尿素軟膏に比べれば少ないようですが、使い方を誤まってはいけません。
 このホームページのNo.12 皮膚の栄養(2001/10/17)のところでお話しましたように、皮膚の真皮では、繊維と繊維の間には隙間があり、この隙間には基質といって水分をはじめ電解質やタンパク質、炭水化物のような皮膚の新陳代謝に必要な成分が半ばゼリー状の液体としてつまっています。この中の代表的な成分である酸性ムコ多糖類としてヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、へパリンなどがあげられます。
 このなかで ヒアルロン酸は保湿力が極めて強力で、乳幼児の真皮に豊富に含まれています。 しかし、加齢と共に減少しますので、次第に張りのない、たるんだ皮膚になります。
 また、 分子量が大きいために外用では吸収されず、塗布によって真皮のヒアルロン酸を増加させることは出来ません。
 ところが、へパリン類似物質は吸収されて真皮基質の成分にあずかり、そのうえ血行をよくするという、理論的にも真の意味での栄養クリームとしての働きを発揮することになりますから、効果も優れています。

§外用剤の併用と混合について

 一 般に、外用剤は、薬物の性状や適応疾患、使用部位を考慮して基剤を選択し,製造されています。
 したがって、本来は単独で使用すべきですが、最近では混合して使用される場合が多いようです。
 この場合、同じ性質の基剤同士を選択すべきですが、 油脂性基剤に乳剤性基剤のものを混合すると、時間がたつにつれて水分が蒸発し、基剤の性質が変化し、使用に際して最適の条件ではなくなります。 また、乳剤性基剤は混合により、乳化が破壊され、薬物の透過性が変化するとされています。
 混合に際し、実際に処方されている組み合わせの多くは、ステロイドの濃度は希釈されるものの、ステロイドの透過性が高まると考えられるものが多く、逆に、副作用が増加する可能性があることが認められています。 
 やはり軟膏の使用条件は、製造時におけるものが最適です。

※ 当クリニックにおける外用剤併用の実際
 わたしは、外用剤を混合して使用するよりも、外用剤の併用を好んで行っております。
 手の慢性湿疹の治療に際して、わたしはヒルドイドソフトを1日2回以上何回も塗るようにし、その上から、とくに悪いところにジフラール軟膏(最強ステロイド軟膏)を1日2回塗り添えるようにしています。 また、指先に「あかぎれ」を生じている場合には、毎晩入浴後の処置に、その上から前述のようにリバノール硼酸亜鉛華軟膏(俗にリバボチ)をはって包帯をするなどの処置を追加、指導しています。

※ 当クリニックにおける外用剤混合の実際
 また、ひどい水虫をはやく治そうと思って、30年以上前からハイアラージン軟膏を塗布した上から別の抗白癬菌剤油性軟膏(トリコマイシン軟膏)とステロイド油性軟膏(フルコートF)を混ぜた製剤(トリコマイシンF)を一時併用して著効を得ていましたが、トリコマイシンが製造中止となってマイコスタチンに変更、更にこれもなくなり、最近ではハクセリンを混合したものを使用しています。
 また、前述の水溶性軟膏基剤同士の併用ですが、これは使用の直前に両者を半々にとり、よく混ぜて厚く塗布していますが、とくに湿疹の治療に著効を示し、当クリニック独自の軟膏療法となっています。
 なお、これらの外用剤混合使用に際しましては、とくに有能な薬剤師のアドバイスに基づき、密接な連携のもとに実施しています。

新しい外用剤の選択

 近年、従来の軟膏の他に、ビタミンD3軟膏・タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)などの新しい外用剤が開発され、それぞれ尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎の治療に脚光を浴び、「にきび」の外用療法として新キノロン系外用抗菌剤である1%ナジフロキサシンクリーム(アクアチムクリーム)や抗生物質外用剤クリンダマイシンゲル(ダラシンゲル)なども開発され、よく使用されていますが、最近、外用真菌剤であるケトコナゾールクリーム(ニゾラールクリーム)の使用が、更に「にきび」の治療を容易にしています。
 皮膚常在菌として知られるMalassezia furfur (マラセチア菌)は癜風(クロナマズ)の原因菌として知られている脂好性の真菌ですが、このマラセチア菌のリパーゼが皮脂を分解して遊離脂肪酸を生成し、これが炎症を惹起するものと考えられています。
 そこで、当クリニックでは脂漏性皮膚炎の治療に外用剤として第一に選択していますが、従来の外用剤を使用しても治りにくい「にきび」の症例に対してもケトコナゾールクリーム(ニゾラールクリーム)を使用して、しばしば著効を得ています。

特殊な外用剤について

※ 特殊な保護クリーム「デルマシールド」について
 当クリニックでは平成9年9月以降、特殊な保護クリームである『デルマシールド』を主として手の湿疹に使用し、著効を得ています。
 これは、アメリカで開発され、1993年5月に米国特許庁より製造特許製剤として認定されたもので、何にもまさる皮膚保護材料です。詳細は本ホームページNo.116(2005/3/15)をご参照下さい。

※ サンスクリーン(UVムース)について
 顔の湿疹様変化を訴える中高年女性100例について分析しますと、その中の94%に光線過敏性が認められることが分かりました。従って、このような患者さんの治療に際しましては、早く症状を抑え、後療法としてサンスクリーンの使用が必要になりますが、当クリニックではシュウ ウエムラ化粧品のUVムース(SPF 17・PA++)の使用をすすめ、すべて完全にコントロールされています。本ホームページのUVムースの項をご参照ください。

※ 20%塩化アルミニウム・アルコールについて
 わたしが既に50年近く前から作製使用している特殊な制汗剤で腋臭症に対しても著効がみられます。本ホームページNo.41(2002/5/15)をご参照ください。

理想的な洗剤の開発

 軟膏療法を含めてすべてのスキンケアの第一歩は皮膚を清潔にすることからはじまります。その上で外用剤を使って皮膚を保護し、その作用を期待することになります。
 当クリニック・ホームページのJN全身シャンプー紹介のところをご参照ください。
 また、本ホームページのNo.26 皮膚と洗剤(222/1/30)をご参照ください。

当クリニックの開発した理想的なシャンプーの特徴

※ 界面活性剤は皮膚表面の「あか」や「よごれ」を落すことにすぐれた洗浄力を発揮していますが、アニオン界面活性剤だけを配合した従来のシャンプーには、洗浄力が強いために、「あか」や「よごれ」と共に角層中の脂肪分(細胞間脂質)までを洗い落としてしまう欠点がありました。
 ところが、このシャンプーには一つのアニオン界面活性剤だけでなく、他のアニオン界面活性剤と両面界面活性剤がバランスよく配合されていますので、すぐれた洗浄力を発揮することは勿論ですが、前述のような欠点がなくなり、非常に理想的なシャンプーということができます。
 その上、シルク蛋白由来の保湿剤などが配合されていますので、皮膚にしっとりした感じを与えることになります。

※ また、耐硬水性があり、温泉中の金属イオンを捕獲し、硬水でも泡立ちを良くする成分が含まれていますので、温泉での使用にも最適で、アトピーの人も安心して使うことが出来ます。

※ 更にまた、普通の中性洗剤と違って、泡は分解しやすく、公害を残しません。

※ 以上の他、ラベンダー油が少し入っているので、使用時にかすかにラベンダーの香りがしてさわやかで、使った後の皮膚もさっぱりして気持ちがよく、使うのが実に楽しいシャンプーということが出来ます。

クリニック情報

[診療時間]
9:00~13:00
15:00~18:00
休診日/木曜日・日曜日・祝日

[住所]
〒874-0943
大分県別府市楠町14-8

[TEL]
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