鳴海クリニック <消化器内科・内科・外科・皮膚科>

クリニックレポート(個別記事)

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アレルギー性皮膚疾患の新しい治し方
NO.159 2007/4/15

 皮膚病を診る場合、ただ単に皮膚のみでなく、皮膚を通して人間全体を診ること、つまり、常に他臓器との関連において、または環境との関連において診ることが大切であることを強調して来ました。
 そして、このホームページで度々指摘してきましたように、アレルギー性皮膚疾患、とくに慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎などの治療に際しましては、アレルギーに対する処置は勿論ですが、場合によっては神経ならびに内分泌の影響を併せ考えた、いわゆる三位一体の医療概念に則った治療が必要であると述べて参りました。
 今回は、このことを再認識していただくために、再び以下に述べたいと思います。


1.アレルギー性皮膚疾患症例の再検討

※ 慢性蕁麻疹について
 慢性蕁麻疹の症例で低血圧症状を訴える患者さんがかなりいますが、今、その10人についてみますと、下記の表のように何れも女性ですが、アレルギーの程度は様々で、その中の1人は蕁麻疹様症状を呈しますがアトピー鑑別試験は陰性でした。ところが、その中の1例を除く全例に月経不順や月経前悪化等の月経異常を伴っていることがわかりました。

※ アトピー性皮膚炎について
 また、同時に低血圧症を伴うアトピー性皮膚炎患者20人についてみますと、下記の表のように、何れも女性患者ですが、その中の10人、つまり半数に月経異常を伴う人のいることがわかりました。







 そこで、これらを総合して、アレルギー性皮膚疾患、とくに慢性蕁麻疹やアトピー性皮膚炎などの症例をよくみますと、アレルギー症状の他に、自律神経が関与する症状、また、ある症例ではこの他に月経異常など、内分泌特に性ホルモンの関与する女性ならではの症状もみられ、治療に際しましては後で示します表のように、三位一体の治療概念に基づいた治療を施す必要があると考えるわけであります。

2.三位一体の治療概念に基づくアレルギー性皮膚疾患の治療

 そこで、これらの所見に基づき、下記の如く治療法を検討してみたいと思います。
 
※ ノイロトロピンの使用について 
 ノイロトロピンは古くは瀧野増市氏によって発見されたワクシニアウイルス接種家兎から得られた炎症皮膚抽出物ですが、
①ノイロトロピンは正常な神経よりも興奮したあらゆる種類の神経により強く作用する。
②ノイロトロピンの作用は神経の遮断や麻痺にあるのではなくてその鎮静にあること。
③習慣性が今のところ見出されていない。
④副作用が殆んどない。

 以上のことから、興奮したあらゆる神経に対する鎮静作用の他、鎮痛作用もあり、抗アレルギー作用のあることがわかっています。
 したがって、湿疹、皮膚炎、蕁麻疹等の痒みを伴うアレルギー性皮膚疾患の治療にわたしは好んで使用してきました。

※ アタラックス(塩酸ヒドロキシジン)の使用について
 アトピー性皮膚炎をはじめとする湿疹様病変の治療にあたって痛感しますことは、その検査所見の上からみましても、アレルギーがあって自律神経失調症状を伴う場合が多く、アレルギーの背景に自律神経失調が潜んでいる場合が多いことです。
 このようなことを考えますと、皮膚科実地診療に下記のような作用をもつアタラックスの応用は極めて適切と思われます。
・優れた抗アレルギー作用
・優れた中枢的な自律神経安定化作用
 視床、視床下部、大脳辺縁系などに作用して中枢抑制作用を示すものと考えられ、不安・緊張・焦燥など感情障害の改善をもたらすものとされている。
・依存性を示さない    

※ 最近開発された抗アレルギー薬の使用にあたって
 アレルギー性皮膚疾患の発症には、本来のアレルギー性炎症に非アドレナリン非コリン性の神経線維から遊離する神経ペプチドが引き起こす神経原性炎症が加わり、一層病変が修飾されることが言われております。 とくにこのホームページのNo.122 皮膚のアレルギー性炎症と神経とのかかわり(2005/6/15)で、このことについて述べておきました。
 そこで、アレルギー性炎症と神経とのかかわりに関する治療上の得策として、とくに以下に示す抗アレルギー薬の使用がすすめられます。

1) 塩酸オロパタジン(アレロック)(2001年3月販売開始)
・作用機序が多岐にわたり、従来の抗アレルギー作用(ヒスタミンH1受容体拮抗作用、ヒスタミン遊離抑制作用)の他に、サブスタンスP遊離抑制作用あり。
・適応症が広く、慢性蕁麻疹で特に効果が高く、速効性が更に上回る。
その他、尋常性乾癬、多形浸出性紅斑にも有効。
・薬効相互作用の可能性が少なく、併用禁忌、併用注意がない。抗コリン作用が少なく、前立腺肥大、緑内障の患者にも使い易い。
 また、このようなサブスタンスP遊離抑制作用は、末梢知覚神経C線維に働くことから、「かゆみ」のみでなく、痛みへの効果も期待される。
 従って、各種疾患の「かゆみ」対策のみならず、帯状疱疹の神経痛の軽減や、一般にストレスに弱い患者の治療にも応用している。

2) 塩酸エピナスチン(アレジオン)(1994年6月販売開始)
 ところが、その後、塩酸エピナスチン(アレジオン)が神経成長因子(NGF)の上昇を抑制し、同時にサブスタンスPも有意に抑制することがわかり、かゆみ対策に更なる伸展が期待されるということがわかりました。
 これを次にまとめて見ますと、
1)塩酸エピナスチンはNGFの上昇を抑制し、同時にサブスタンスPも有意に抑制する。
2)塩酸エピナスチンは培養ケラチノサイトのTh1ケモカイン産生、免疫担当細胞表面分子の発現を抑制する。
3)塩酸エピナスチンは抗アレルギー薬であり、Th2媒介性疾患に奏効するわけですが、皮膚Th1病にも効果を発揮するとされています。
 即ち、塩酸エピナスチンはTh1細胞が表皮に向かって遊走し、活性化するのを抑制するとされていますので、Th1細胞の浸潤を特徴とする尋常性乾癬の病態そのものを抑えるという効果が期待できます。

3) 塩酸フェキソフェナジン(アレグラ)(2000年11月販売開始)
・高く安定した病変皮膚組織内濃度を維持することによってケラチノサイトのTh2サイトカイン産生を抑え、アトピー性皮膚炎の急性病型反応に治療効果を発揮する。
・脳内に殆んど移行せず、脳内H1受容体に結合しにくい → 副作用の軽減。
・速効性、安定性、止痒効果が他剤に比してすぐれており、眠気が少ない。
 したがって、最近開発された抗アレルギーの中でも優れた存在にあるものと思われます。

※ プレグナンジオールの有用性

 また、上述のように、内分泌との関連が考えられる場合は、プレグナンジオールの併用をとくに考えます。
 プレグナンジオールはホルモン作用を有しない物質ですが、内服して有効なのは、おそらく黄体ホルモンと競争的に毛嚢皮脂腺系に作用して、黄体ホルモンの作用を減弱するためと思われています。また、一部は脳下垂体に作用して、性腺刺激ホルモン分泌に影響を与えることも有効な原因と考えられています。
 「にきび」の場合、実際に使っていますと、大体2,3ヶ月で生理の前になっても悪化しなくなります。そして、「にきび」の新生が止まって抗生物質を中止しても多くの場合再発せず、中には、月経異常も少しずつ良くなる人もあるという、副作用の心配のない極めて便利な薬です。

3. 以上の考えに基づいた治療の実際を下記の表に示す 

 下記の表の注射の項では、非特異的減感作療法の目的で、わたしは好んで第2例のような処方を愛用していますが、その他、次のような考えで治療にあたっています。

1.とくに神経因子が濃厚な場合の薬剤使用
 下記の表の中、内服の第1例にそれを示します。
2.とくにIgEが高くてアレルギーが濃厚な場合の薬剤使用
 下記の表の中、内服の第2例にそれを示します。
3.性ホルモンとの関係が考えられる場合の薬剤使用
 これは特に女性の場合ですが、月経不順や月経前悪化を伴う場合、プレグナンディオールの投与が考えられます。これを少なくとも2、3ヵ月投与して経過をみますと、月経前になっても悪化せず、場合によっては月経も順調になる等の効果が期待できます。
4.この他、注意事項として、車を運転する人や夜勤をする人の場合は、眠気の少ない薬剤を選ぶ必要があります。




 最後に、今回述べた治療法は、主として女性患者が対象となりますが、このような意味で、女性患者の方が治しやすいように思われます。

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