鳴海クリニック <消化器内科・内科・外科・皮膚科>

クリニックレポート(個別記事)

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皮膚科領域における光線療法の進歩
NO.179 2012/4/22

 皮膚科における光線療法の歴史は古く、古代エジプトやギリシャでは健康増進あるいは疾病治療を目的として日光浴が盛んに行われていたようです。
 現在でも光線療法をheliotherapyと呼ぶことがありますが、これはギリシャの太陽神Heliosに由来しています。
 多くの疾患に日光治療法が試みられて来ましたが、その中から長い歴史と経験によって乾癬や白斑などの有効な疾患が選別されてきたと考えられます。
 今日の光線療法のルーツは1893年デンマークのニールス・フィンゼンによって世界で初めて太陽光線と同じ連続スペクトル光線を放射するカーボンアーク灯(人工太陽灯)開発され、当時不治の病と言われていた皮膚病(皮膚結核)を根治させたことが始まりです。彼はその功績によって1903年にノーベル生理学医学賞を受賞しました。
 これが光線療法の始まりであり、これを皮切りに光線療法は世界中に広がりました。
 わが国では1903年、東京大学皮膚科で初めてカーボンアーク灯による光線療法が開始されました。
 近年になり、光生物学、光皮膚科学の急速な進歩に伴い、実験的データや理論的根拠に基づいて光線療法や光化学療法が行われるようになりましたが、
1984年:オランダPhilips社がピーク波長311 ~313nm UVB蛍光管を開発しました。
 2002年:現在のテルモ・クリニカルサプライ株式会社が国産初のnarrow-band UVB照射機を発売。それ以後、日本におけるnarrow-band UVB治療の本格的な普及が始まりました。 
 2006年:Photo Madex 社が308nm Excimer Lamp (VTRAC) を発売し、2007年に日本に導入されました。これは治療したい部位のみに照射が可能な ターゲット照射型UVB治療器で、照射野が狭いので、限局性の病変に対しては効率がよく、上述のnarrow-band UVB 照射療法よりも桁違いに短い時間で高い効果が期待できます。

 これに対し、赤外線の治療への応用は局所温熱療法の一つとして古い歴史がありますが、近年の紫外線における著しい進歩に匹敵するような新知見は見あたりません。

光線療法の分類については、比較的最近のものとして下記のものがあげられます。(標準皮膚科学・第5版・1997年)

光線療法の分類

1.赤外線による熱戦を利用(血行促進、鎮痛、消炎作用)→凍傷、凍瘡、下腿潰瘍など
2.紫外線による全身的作用を利用→VDの合成
3.光毒性反応を利用
 a.光感作物質を用いないもの(UVBまたはC)→ジベルばら色粃糠疹、尋常性乾癬、滴状類乾癬(以前は皮膚結核にUVC)
 b.感作物質(chromophore)を用いるもの(光化学療法)
  ①ソラレン+UVA (PUVA) →尋常性乾癬、掌蹠膿庖症、尋常性白斑、菌状息肉症
  ②コールタール+紫外線(Goeckerman 療法)→尋常性乾癬
4.光分解反応を利用→新産児高ビリルビン血症

 また、かつて皮膚病診療が「どんな病気に光線療法を行うか」というアンケート特集(1995年・17巻・9号)を組んだことがありますが、これらを整理して当クリニックにおける光線療法を中心に述べてみたいと思います。

当クリニックにおける光線療法の現状

1.赤外線療法:とくに「にきび」を対象にして光線療法を併用している。

2.紫外線療法:
 ① 光線単独療法(主としてUVB療法)
 ・・・円形脱毛症、癜風、ジベルばら色粃糠疹、滴状類乾癬など 
 ② 光化学療法(とくに外用PUVA療法)
 ・・・とくに尋常性乾癬、掌蹠膿疱症に頻用している
 尋常性白斑・露出部のものはさけ、被覆部位のそれを対象にしている。
 ③ UVB療法・ナローバンドUVB療法
 50cmぐらい離れたところから、UVBを照射する治療法です。ナローバンドUVB療法はUVB療法よりも効果が高く、PUVA療法のように薬剤を用いる必要がない簡便な方法であるため、近年急速に普及しつつありますが、当クリニックでは、本照射機を2012年2月に設置し、治療を始めました。その詳細は本ホームページのクリニックレポートNo.178 に述べておきました。

3.低出力ソフトレーザーの応用        

 1958年、ハンガリーのMester によって低出力レーザーに臨床的に自然治癒力を高める生体活性効果のあることが発見されて以来、これまでとくに整形外科領域、並びに麻酔科領域で応用され、その報告が相次いでなされています。
 ソフトレーザー光効果は、一口に言えばホメオスタシスの状態にする作用、つまり細胞や組織を活性化あるいは正常化する作用がポイントで、副作用のないことが最大の特色とされています。 
 低出力レーザーは温熱効果よりむしろ光化学効果をもたらすもので、正確な作用機序はまだ明らかでありませんが、その生理学的効果として除痛、血管拡張(血流量の増加)抗炎症作用、創傷治癒促進効果などがあげられています。
 
 当クリニックにおいてはこれらの点に注目、1993年2月以降治療に応用しています。
 最も有力な対象は、帯状疱疹後の神経痛に対してで、照射要領は、圧痛点を中心に疼痛部位に出力1000mWのソフトレーザー器1点15秒とし、1~2cm間隔で照射していすが、治療開始後大体2~3週間で略治する例が多いようです。
 
 次に、ステロイド外用でなかなか思うようにいかず、手こずっている紅斑落屑性皮疹ないしは浸潤高度な病巣(尋常性乾癬、慢性痒疹、その他)、尋常性白斑、円形脱毛症にもある程度の効果が期待できます。 これらの病巣に対しては、その大きさにより、1~2cmの間隔で1ポイント15秒の照射を基準とし、これを少なくとも1週1回繰り返すことにしています。
 
 ただ残念なことに、現時点で保険診療の上から点数の算定が未だなされていませんので、将来皮膚科領域における光線療法の見直しをして、出来るだけ早い機会にソフトレーザーの使用を保険診療に組み入れていただきたいと念願する次第です。

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