再び帯状疱疹について〜その治し方のコツ〜
NO.105 2004/9/30

 すでに、このホームページのNo.17ウイルス性皮膚疾患の治し方(2001/11/21)、No.33帯状疱疹・最近の問題(2002/3/20)で大体のことはお話しましたが、今回は「その治し方のコツ」について、これまでの経験をもとに、どうすればうまく治せるか、お話してみたいと思います。

帯状疱疹発生のメカニズム

 「みずぼうそう」のところでお話しましたように、それが治った後ウイルスは図1(A)のように脊髄後根神経節に不活性の状態で潜伏していますが、年齢的な免疫力の低下とともに、外傷や発熱、薬剤などの誘因で活性化し、図1(B)のように神経を伝わりながら神経に炎症を起こして行きます。したがって、皮膚にまだ症状が現れていなくとも痛みが生ずるわけです。
 なお、増殖したウイルスは、一般的には1〜数個の知覚神経に沿って身体の片側に発症し、発赤と小水疱を伴う皮膚症状は一定の末梢神経の走行に沿った帯状の配列を示すことになります。(知覚神経の分布 図2並びに図1(C,D)参照)




治療開始のタイミング 

 やがてこの皮膚の炎症は1週間から2週間以内に治りますが、図1(E,F)のように神経が変性してしまうと神経痛が長く残ることになります。
 また、皮疹が広範囲で潰瘍をつくる場合は治るまでに少し時間がかかり、神経痛が長く残ることが多く、年余にわたる場合もあります。
 したがって、皮膚症状は勿論ですが、神経の炎症を出来るだけ早くくい止めるよう、症状の早期コントロールに力を注ぐことが大切です。




治療の実際

* 治療上最も大切なことは、上記の理由により、出来るだけ発症から4日以内に治療を開始し、2週間を目途に治すことです。つまり、皮膚症状は勿論ですが、神経の炎症を出来るだけ早くくいとめるよう努力しなければなりません。

*このためには、神経の鎮静とともに、体内鎮痛機構(下行性疼痛抑制系)を活性化するノイロトロピンの注射と相俟って、抗ウイルス剤や消炎鎮痛剤を上手に使うことです。

*抗ウイルス剤は水庖が乾燥するまで使います。水疱のある間はそこにウイルスが沢山いますので、その間に集中的に使うわけです。大体1週間と思えばいいでしょう。

* その他の薬剤の併用
 ポンタールなど普通の消炎鎮痛剤の使用により1週間以内で痛みが止まれば一番いいですが、それでもうまく行かないときは、抗鬱剤(例えばトフラニール)を併用するとか、H2抗ヒスタミン剤であるシメチジンやビタミンB12製剤であるメチコバールなどを併用してみる工夫が大切です。

* 理学療法:とくに低出力レーザー療法について
 帯状疱疹後神経痛に対しては良く神経ブロックが行われますが、当クリニックでは低出力レーザーによる治療を行っています。この場合出来るだけ圧痛点を探し、神経痛が止まるまで照射することにしています。通常最初の1週間は出来るだけ毎日照射することを原則としています。
 もう一つの方法として、レーザー鍼治療があります。これは低出力レーザーを上記の圧痛点(トリーガーポイント)をはじめ経穴(いわゆる“ツボ”)へ照射することです。

* 星状神経節近傍へのレーザー照射について
 よく首から上の痛みには星状神経節ブロックを、首から下の痛みには硬膜外ブロックが行われていますが、このブロックの変りにレーザーを照射するわけです。
正確には、星状神経節近傍へのレーザー照射ですが、星状神経節ブロックに近似の効果をもたらします。しかし、ブロックと比較して、(1)手技が容易で、(2)合併症がなく、(3)局所麻酔剤を用いないので薬物アレルギーの心配もなく、(4)注射針を使用しないので恐怖感もありません。照射の要領は、星状神経節ブロックと同じ要領で、第6または7の頚椎(C6またはC7)横突起のやや内側に、半導体レーザーのプロ−ブを圧迫気味に当てます。照射時間は、1000mWで1分間です。


参考資料:

帯状疱疹について
   村川和重・黒川一郎先生監修 
   ファーマ インターナショナル編集・制作(1999年9月)

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