保湿のスキンケア
NO.108 2004/11/15

 寒くなるにつれて空気は乾燥し、肌の乾燥やひび割れといった悩みが起こってきます。わたし自身、入浴の際、かかとの荒れが気になり始めると、何となく季節感を感じ、秋が深まるのをおぼえます。
 今回は「なぜ寒くなると肌があれるのか」、肌荒れの原理とその予防と手入れについてお話してみたいと思います。

肌荒れの原理と皮膚の保湿メカニズム

 皮膚には細菌や化学物質などの有害物質の侵入を防いだり、紫外線などの影響から身を守る働きがあります。
 また、皮膚は体の水分が蒸発するのを防いでいます。
 体の表面を覆う皮膚は、「表皮」 「真皮」 「皮下組織」 からできています。この中で,肌荒れと関係の深い表皮は(下図)のように四つの層に分かれており、その最外層を角層と言っています。角層は15〜30層からなる「角質細胞」の層で、そのすき間を「細胞間脂質」という一種の脂肪分が埋めています。この脂質の50%を占めているのが「セラミド」という成分で、細胞間脂質は角層の中に水分を抱えこむ構造をつくっており、角質細胞をつなぎ止める漆喰のような役目を果たしています。
 また、角層の中には、アミノ酸や尿素などの「天然保湿因子」が含まれています。さらに、角層の表面を、皮脂腺から分泌された皮脂と汗腺から分泌された汗がまざりあってつくられた「皮脂膜」が覆っており、こうして出来た皮膚のバリアー(障壁)が有害物質の侵入を防ぎ、体から水分が失われるのを防いでいるのです。



皮膚の保湿機構
1.皮脂膜:角層の水分蒸発を防ぐ
 皮膚の一番表面にある角層は通常10〜20%の水分を含んでいますが、皮脂の分泌が低下したり、あるいは頻回に石けんなどで洗い落とすことを繰り返したりして、皮脂膜が充分につくられないと、皮膚の水分は蒸発しやすくなり、その結果角層の水分量は10%以下となり、皮膚は乾燥してきます。
 乾燥した皮膚では、本来は一つずつはがれるはずの角質片がいくつも固まってはがれるため、白い粉のように見えることがあります。これがつまり「肌荒れ」でドライスキンと呼ばれる状態です。(下記の第2、第3図参照)

2.天然保湿因子( Natural Moisturizing Factor・・・NMF):角層中にある水溶性の保湿因子(角質片が水を抱え込む力)で次の組成からなります。
 NMFの組成:アミノ酸(40.0%),ピロリドンカルボン酸(12.0%),乳 酸 塩 (12.0%),尿 素(7.0%)その他

3.角質細胞間脂質: とくにセラミドが水分保持に重要な役割を果たす
細胞間脂質の組成: セラミド類(54%),遊離脂肪酸(21%),コレステロール(6%),コレステロール・エステル(8%)

 一般に中年を過ぎると皮膚の老化によってドライスキンの発生頻度は増加しますが、年をとるにつれて皮脂の分泌は少なくなり、角質細胞間脂質のセラミドも減少して、「肌あれ」を起こし易くなります。

肌荒れの予防と手入れ

スキンケアの実際
 肌あれの予防対策として、水仕事や入浴後は皮膚に乳液やクリームなどを塗って水分や脂肪分を補うことです。ひどい時はワセリンをぬってカバーするようにしますと、角層が水分を吸収して膨化するようになります。(下記第4図参照)
 とくに最近では尿素やヘパリン様物質の含まれた保湿剤がよく使われています。



最近の保湿剤について

1.尿素軟膏
・保湿作用をもっている尿素を10〜20%含有するクリーム
・NMF(天然保湿因子)の補足

2.ヒルドイド軟膏
・酸性ムコ多糖類の一種であるへパリノイド(へパリン類似物質)を主成分とするクリーム
保湿作用(尿素含有軟膏と同等あるいはそれ以上に有用の可能性を示す)
経皮吸収が認められている
・水分の保持
・体液や電解質の交換に重要な役割を果たす(ガス交換、酸素の供給、栄養の摂取にあずかる)
血行促進
  ↓◆↓ が一緒になって本当の栄養クリームとしての力を発揮!

入浴の注意

 石鹸や洗剤を使いすぎると皮膚はカサカサになり、皮脂欠乏性湿疹が起こりやすくなります。最近の日本人は洗い過ぎではないかとよく言われています。
 また、必要以上に擦ると肌あれを起こしやすくなります。とくにナイロンタオルの使用は止めた方がいいでしょう。軽石やスポンジで「かかと」などを擦っているうちに、その刺激が重なって、かえって皮膚は厚くなり、ゴワゴワになります。

とくに温泉入浴の心得
 温泉で普通の石鹸を使うと、それがどんなにいい薬用石鹸でも、硬水である温泉に含まれているカルシウムやマグネシウム、鉄分などの塩類が石鹸の成分である脂肪酸基と結合して水に溶けない金属石鹸をつくり、これが洗浄力を落とすだけでなく、皮膚にくっついて皮膚を荒らすことになります。
 とくにアトピー性皮膚炎の人ではこれが一層はげしく、症状は一層悪化します。
 そのため硬水でも安心して使える全身シャンプーがつくられました。

当クリニックがすすめる全身シャンプーの特徴
・ 軽く使うことによって「あか」や「汚れ」は取れますが、皮膚の脂を取りすぎることなく、しっとりと皮膚を保護します。
・温泉のような硬水で使っても、硬水の成分と反応して皮膚を荒らすことがないので、アトピーの人も安心して使える、温泉に最適のシャンプーということができます。
・普通の中性洗剤と違って泡は分解しやすく、公害を残しません。環境にやさしいシャンプーです。

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