Qスイッチルビーレーザーによる「しみ」の治療
NO.109 2004/11/30

 Qスイッチルビーレーザーの太田母斑に対する治療につきましては、既に本ホームページのNo.79(2003/12/21)において述べましたので、今回は一般的な「しみ」、とくに老人性色素班の治療について述べてみたいと思います。

「しみ」ができるメカニズム

1.皮膚に紫外線が当ると、色素細胞(メラノサイト)からメラニンという黒い色素がつくり出され、新陳代謝がうまく行われないと、メラニン色素が消えずに「しみ」として残リます。
2.メラニン色素をつくる色素細胞が表皮内で増殖したり、それよりも深い真皮で増殖したりする場合も、「しみ」をつくることになります。
 一般に,「茶あざ」、「黒あざ」、「青あざ」、「太田母斑」などのような「あざ」の場合に見られます。
3.化粧品や、ナイロンタオルでこすったりして皮膚炎を繰り返していると、表皮細胞や色素細胞が破壊されます。そうすると、細胞内のメラニン色素が放出され、脱落したメラニン色素がマクロファージという細胞に取り込まれて真皮上層に集積し、「しみ」をつくることになります。

とくに老人性色素斑について

 30〜40才代から次第に多くなり、50〜60才代では殆どの人に見られます。別名「日光色素斑」とも言い、紫外線に当ることが発症の大きな原因となります。
 日光のよく当る顔や手の甲、腕などによく見られます。そして、そのままにしておくと、盛り上がって「いぼ」状になることがあり、これを脂漏性角化症と言っています。
 この場合の色素沈着は表皮内で色素細胞(メラノサイト)の増加によるもので、紫外線によってメラニン色素をつくる働きがさかんになり、表皮内にメラニンが蓄積され、顔や手背などに大小様々な「しみ」をつくります。

老人性色素班の治療について

・軽い色素斑の場合はヒルドイド軟膏を何ヶ月も、あるいは年余にわたって栄養クリーム代わりに使用すると、サンスクリーン(UVムース)の併用と相俟ってびっくりする程きれいになります。
・比較的濃くて目立つ色素班は、液体窒素による冷凍凝固術やQスイッチルビーレザー照射によって、殆んど完全に治すことができます。

Qスイッチルビーレーザーしみ治療の実際とその特徴

 当クリニックでは、2000年6月から大分県では始めてのQスィッチルビーレーザーによる太田母斑の治療を始めました。
 このQ‐スイッチルビーレーザーの波長は694.3nmで、このレーザー光はメラニンにのみ吸収されるので、正常皮膚の損傷を最小限に抑えながら患部色素だけを破壊し、あざ等の治療を行うことができます。
 その上、Qスイッチルビーレーザーの照射時間はとても短く、25nsecという一億分の2秒程度の極めて短い時間で照射することができますので、正常組織を破壊することなく治療することができます。照射時間が100nsecを超えると、正常組織までも熱によって破壊されてしまいます。
 また、スイッチルビーレーザーは、パルス幅により、82MWという高いピークパワーを出すことが可能ですので、今まで不可能だった深部の色素細胞の破壊が、まわりの正常組織に熱によるダメージを与えることなく出来るようになりました。

 下記の図は56歳の女性の顔に生じた老人性色素班にQスイッチルビーレーザー照射を行った症例を示しますが、照射後10日で図のように色素班が消失しています。これは極めて理想的な成功例で、この場合の照射条件はShort Tipを使用し、出力5J/cm2、41ショットでした。




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