アレルギーマーチ
NO.119 2005/4/30

 アレルギーマーチとは、同愛記念病院小児科医長の馬場 実先生が提唱した言葉ですが、それによりますと、アトピー素因のある人に、アレルギー性疾患が次から次ぎへと発症して行く様子をアレルギーマーチと言っています。

年齢が上がるにつれてアレルギーの原因となる物質が変化する

※ 牛乳、卵などの食物抗原に対する陽性率は
 0歳で卵白に対する陽性率は55.5%、牛乳に対する陽性率は23.6%、それ以後は急速に低下し、7〜9歳以降では殆んど陽性を示さなくなるということです。
※ ハウスダスト、ダニに対する陽性率は、
 4〜6歳までに急速に上昇し、それ以降は60%〜80%の高率で推移するということです。
(以上、高路氏の報告・アレルゲンの年齢別頻度による)
※ 花粉による感作
 従来、花粉症は6歳以降に発症するケースが多いとされていますが、毎年小児スギ花粉症は感作例、有病率ともに急速に低年齢化を示し、3〜4歳の花粉症患者もまれではなくなったと言います。(寺田氏他の報告・花粉症治療ガイド2005より)

年齢が上がるにつれて発症するアレルギーが変化する

※ 食物アレルギーについて
 食物アレルギーは生まれてすぐか1歳までの間に発症する人が多いようです。
※ アトピー性皮膚炎について
 アトピー性皮膚炎は乳幼児期(1〜3歳頃までの時期)に発症し、多くは思春期(12〜14歳頃)までに自然に軽快する小児の代表的皮膚疾患とされていました。
 ところが、昨今の住宅事情の変化や、大気汚染、スギ、ヒノキ花粉などの飛散量の増加といった様々な環境の変化に伴い、アトピー性皮膚炎患者は、ここ10年の間に確実に増加しています。2002年11月に発表の厚生労働省研究班の調査によりますと、アトピー性皮膚炎にかかっている幼児は1歳半で10人に1人ということです。
 アトピー性皮膚炎は適切な治療をしていれば、必ず年齢とともに軽快することを銘記すべきですが、大部分は
1)乳児期に発症し、消長を繰り返しながら成人期に移行するもの
2)乳幼児期に発症するも、数年後には軽快し、思春期以後に再び発症するもの
3)小児期には喘息、鼻炎のみで、これらの軽快に伴い思春期以後に皮疹が発症するもの
4)思春期以降突然発症するもの   とされていますが、
 最近では20歳を超えてはじめて発症するものもあり、また、河島らの報告によりますと、50歳以上の高年型や、60歳以上の老人型の症例が明らかに増加しており、今後アトピー性皮膚炎の年齢分布がより複雑化する可能性があるとしています。
※ 気管支喘息について
 気管支喘息は3歳から6歳ぐらいまでに発症し、一部は7〜8歳までに治りますが、大部分は学齢期まで持ち越し、約70%は14〜15歳で治癒し、残りが成人性気管支喘息に移行するとされています。
※ 花粉症について
 花粉症は主として6歳以後に発症しますが、大人になって発症する人も多いとされています。
 ところが近年、急速に低年齢化がすすみ、3〜4歳の花粉症患者もまれではなくなりました。(寺田らの報告による)

アレルギー疾患相互の関係

 アレルギー素因をもつ人は、特定のアレルギー疾患を単独で発症するよりも、むしろいくつかのアレルギーを併発する方が一般的とされています。
 アトピー性皮膚炎に喘息、アレルギー性鼻炎が合併することはよく知られています。
 本邦での合併率は15〜20%と言われ、欧米では20〜30%と言われています。成人型のアトピー性皮膚炎では50〜60%の高率で合併が認められており、高年齢になるほど、その合併率が高くなる傾向が見られます。
 アトピー性皮膚炎と喘息とが交互に出現するような例があること、アトピーという考えが出てきた歴史的背景とから、アトピー性皮膚炎と喘息、鼻炎とは同じ機序が働いて起こる病気であり、アレルギーが起こる臓器が皮膚、気管支、鼻粘膜と異なるだけであるという考え方が大きく広がっています。
 この様子は、3つの山がある氷山に例えられます。つまり、この山のいずれかが海面に出現するかによって、いずれの症状が出現するかが決まるわけで、この考え方を基にしたアレルギーマーチという考え方も出されるわけであります。

 つまり、年齢が長ずるに従ってアレルギー反応が積み重ねられ、だんだん症状がひどくなったり、その間にアトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎が交互に出たり消えたりしながら進行して行くことにもなりますが、いずれにしても、アトピー性皮膚炎と喘息、鼻炎はともにIgE抗体が関与して起こる病気であり、互いに密接な関係にあることが一般に受け入れられています。

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