い つ も 思 う こ と
NO.136 2005/10/30

Was ist das Schwerste von Allem?
   Was dir das Leichteste duenket,
Mit den Augen zu sehen ,
   Was vor den Augen dir liegt.
 

 これは数あるゲーテの詩の一つであるが、私はこの詩が好きである。(すべてのものの中で最も難しいものはなにか、それは、あなたの前にあるものを見るという、最もたやすいと思われることであるという意味) この詩をはじめて知ったのは、丁度インターンの頃であったから、あるいはこれが皮膚科医を志すきっかけになったかもしれない。

 高等学校時代の後半、私は動物学の先生のご指導で、余暇を利用して約70匹の「みみず」の解剖をしたことがある。生殖器や盲嚢の形態を詳細にしらべ、比較解剖学の片鱗に触れて、妙に気を引かれたことを思い出す。

 その後医学部へ進んだが、一年の夏休み、教授のご指導で肩甲骨の計測を行った。84体の計測の結果を小論文(英文)にまとめたが、戦後の混乱に紛れて未発表に終ってしまった。しかし、骨の形が筋肉や関節の運動といかに関係が深いかを如実に知らされたものである。

 皮膚科医になって50年が過ぎたが、いやでも皮膚をみる訓練をさせられてきた。その上で言えることは、割にありふれた皮膚病でも、まだまだ未解決の分野が残されているということである。ただ見るだけでは駄目である。もっと見抜く力を養わねばならないことを痛感する。

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