爪の基礎知識
NO.157 2007/1/25

 爪の役割は、指先を保護することに役立ち、物をつかむ時、指先に力を入れますが、爪が支えとなって物をうまくつかむことができます。爪があるおかげで細かな作業ができ、いろいろな事をすることが出来ます。
 このような爪は一体どういう構造になっているのでしょうか。次に述べてみましょう。

爪の構造




 爪は皮膚の表皮の角質が変化し、板状に硬化して出来た皮膚の付属器官です。
その組織構造はLookingbill & Mark の著書から引用すると上図のようになっています。
 爪の外に出ている部分を「爪甲」、皮膚に隠れている部分を「爪根」と言っています。
 爪は上図の「爪母」という部分で作られ、矢印のように指先へと成長します。
爪と接触し、「爪甲」を乗せている皮膚は「爪床」と呼ばれ、普通の表皮は無く、真皮以下は他の皮膚と構造は同じになっています。爪はその上をすべるように指先に向かって延び、指先の先端部分では、「爪甲」は「爪床」から離れ、指先から爪が突出します。
 爪の根元部分は皮膚に隠れており、その根元に乳白色の半月状の部分が見えますが、これを爪半月と言っています。この部の爪はまだ完全には角化していない新しい爪です。

爪の発育

 爪甲は一般に爪母の全層から作られますが、一部は爪床からもつくられます。
 爪母の表皮は比較的厚く、顆粒層はありませんが、徐々に爪甲物質に移行するとされており、この場合、近位部の爪母は上部爪甲をつくり、遠位部の爪母から下部の爪甲を作るとされています。
 更にこれをもう少し詳しく述べますと、正常の爪甲は下記の図のように3つの異なった部位から発生します。すなわち、爪母に近い部位(a)から爪甲の表在性の部分(a’)が、爪母に遠い部分(b)から下部爪甲(b’)がつくられます。また、爪床の表皮(c)から爪甲下ケラチン(c)がつくられ、爪甲の底としっかりくっつくことになっています。
 したがって、爪甲の表層と深層では角質の性質が異なっています。
 爪の硬さはすべて均一なものではなく、爪が爪床と密着しているところでは強く、簡単にぬけるものではありません。ところが、指先の爪床から離れて白く見えるところはもろくなり、折れたり、さけやすくなります。




健康な爪の性状 

 以上述べましたように、爪はケラチンからできており、厚さは0.3〜0.65mm、硬くて透明な構造を有しています。
 爪の伸びは手の指で1日0.1mm、足の趾ではこれより少し遅いとされています。
 爪が爪母の部分から爪先まで伸びる日数はおよそ5〜6ヵ月かかります。 爪の伸びは年齢によって違いがあり、小児期より20才頃までは爪の伸びはよく、からだ全体の成長と関連しています。それ以後伸びは遅くなり、50才を過ぎる頃には、幼児の爪の伸びに劣るとされています。
 爪の色は、爪甲の透明度、爪甲と下部組織、即ち爪床との結合状態、爪床真皮の血流状態に左右されます。正常な爪は淡い光沢のあるピンク色で透明感とつやがあります。     
 爪が透明なのは、爪床から水分を受けているからです。爪半月の色が乳白色なのは、爪母でつくられたばかりの爪なので、完全に角質化されていないからです。 
 爪の硬度は、爪甲に含まれる水分の量やケラチンの組成によって変わってきます。 一般に乳幼児では爪甲はやわらかく、弾力性に富み、老人では硬く、もろくなります。
 爪の水分量は、外界の環境要因によって、5〜24%程度まで変動するとされています。吸湿により柔軟化、乾燥により硬くなります。風呂上りに爪が切りやすいと感じることがあるのも、この吸湿による爪の柔軟化によるものです。 
 爪は爪母で栄養を吸収し、ゆっくり伸びて行きますので、体の健康保持につとめ、生活習慣や、バランスのとれた食事に留意しなければなりません。

爪に来ている血管について

 爪床や爪母は、次の図に示されるように、指を支配する動脈から枝分かれした血管網によって栄養されています。
 これはRookらの本から引用したものですが、爪の栄養を考える上で極めて大切な所見です。その状態を把握するために、次のような検査のあることを参考までにあげてみました。




参考図書
1.Lookingbill & Mark
 Principles of Dermatology (Saunders Company・1986)
2.Rook/Wilkinson/Ebling
 Textbook of Dermatology (Blackwell Science・1998)
3.西山茂夫
 爪のみかた(医事出版社・1976)
4.西山茂夫
 爪疾患カラーアトラス(南江堂・1997)

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