皮膚と洗剤・洗剤と環境
NO.160 2007/7/12

皮膚と洗剤 

 皮膚の汚れや垢を落とすために、石鹸は古くから使用されてきました。それは、紀元前の昔より数千年にわたって親しまれ、ある意味ではその安全性が実証されてきたとも言えるでしょう。
 しかしながら、石鹸のPHがアルカリ性のため、皮膚に対して悪影響を及ぼすことがあると考えられたこともありますが、 健常者の場合、皮膚は外界からの刺激に対する保護作用としてPH調整能力をもっているので、問題のないことがわかりました。
 例えば、石鹸を30秒〜2分間使用すると、皮膚のPHは0,6〜0,8高くなりますが、45分〜2時間でもとに戻るという報告があります。また、石鹸や洗剤で皮膚を洗うと、皮膚表面の皮脂膜は取り去られますが、1時間後には半分回復し、2時間で大体元に戻ることが知られています。しかし、絶えず炊事その他の水仕事で洗剤を繰り返し使っていると、皮脂膜が回復するひまがないので、皮膚が荒れてきます。

 最近、アトピー性皮膚炎患者が増加していますが、アトピー性皮膚炎の患者では健常人に比して皮膚表面の皮脂量が少ないことが指摘されており、この状態で石鹸を使うと、皮脂および角質層に含まれる細胞間脂質までが落され、皮膚はより乾燥して症状を悪化させることがあるため、使用しない方がよいとされてきました。

 一方、最近の清潔嗜好により、過度に洗いすぎてトラブルを引き起こす傾向がみられ、日に数回に及ぶ石鹸の使用や、ナイロンタオルが多くの人に使用される傾向と相俟って、皮膚のトラブルは一層多くなりました。

 しかし、石鹸を使わないと「あか」や「汚れ」がたまり、症状はむしろ悪化することが考えられるので、低刺激性の石鹸が登場し、更に汚れのみを落し、必要な皮膚保護成分は残すという究極的な洗剤の実現が望まれています。 

 更にまた、温泉で普通の石鹸を使うと、皮膚が荒れて痒くなることが多く、これはとくに冬に著しいということがわかりました。それも硬度の強い温泉にはいる人に多く、硬水で石鹸を使うと、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムなどの塩類が石鹸の脂肪酸基と結合して、水に溶けない金属石鹸(俗に「浮かす」という)をつくり、これが脂の取り除かれた皮膚を刺激するためだということがわかりました。

 以上のことから、すぐれた洗浄力をもってはいますが、皮膚の脂を取り過ぎることなく、温泉での使用に最適で、アトピーの人も安心して使える洗剤が必要とされてきました。 

洗剤の変遷 

 石鹸に始まる皮膚の洗剤は,合成洗剤の開発発展とともに、いろいろな石鹸やシャンプーがつくられ、この30年間は入浴回数の増加と共に、その使用頻度が極めて多くなっていることが指摘されていますが、 とくに、石油を原料にして始まった合成界面活性剤を主成分とする洗剤は、最近では「純植物性」をうたい文句にした製品に替わり、その需要が増えています。 とくに10数年前からボディー・シャンプーが台頭し、急成長してきました。 
 
・とくに、第一次世界大戦中(1914〜1918)、ドイツにおいて最初の界面活性剤が開発され、第二次世界大戦中、動植物油脂の不足を背景に、石油を原料としたアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS)という界面活性剤が開発され、戦後アメリカではこのABSに燐酸を加え、家庭用の合成洗剤が発売されました。

・日本では1950年(昭和25年)、アメリカからABSが輸入され、これを原料に合成洗剤が生産されはじめました。そして、1963年(昭和38年)合成洗剤の生産量は石鹸を上回るようになりました。石鹸でも合成洗剤でも、汚れ落しの主役は「界面活性剤」で、イオンの性質によって陰イオン系、陽イオン系、両イオン系、非イオン系に分類されています。

洗剤と環境

 合成洗剤は登場したときから、河川に泡を立てたりする環境影響、手あれなどの人体影響、魚毒性の強さなどの生物影響が問題になり、現代では環境ホルモンの原因物質と疑われているものもあり、あらたな社会問題となっています。  

 合成洗剤に入っている合成界面活性剤は、石けんよりも毒性が強く、また分子構造が複雑なため、汚水として川や海に放出された後も分解されににくいという特徴をもっています。分解されないと川や湖の富栄養化の原因となり、水環境を悪化させる大きな要因となっています。一般に石けんのほうが環境に与える影響が少ないといわれているのはこのためです。

 1960年代から急増した合成洗剤の使用は、1970年代になり琵琶湖や霞ヶ浦の水質汚染が明らかになりはじめたころから批判されるようになりました。
多くの生協や消費者団体が石けんの利用を推奨していますが、合成洗剤中心の流れを変えるまでには至っていません。

 このような状況の下で、 当クリニックでは東京のあるメーカーの協力を得て、理想のシャンプー(ジェイ・エヌ全身シャンプー)をつくることができ、2001年1月より、患者さんは勿論、一般の方の使用に供しておりますが、次に掲げるような意味合いで、別府市民ならびに別府を訪れる観光客の皆さんのお役に立つことができれば幸です。 

ジェイ・エヌ全身シャンプーが理想的なシャンプーである理論的根拠 

※ 界面活性剤は皮膚表面の「あか」や「よごれ」を落すことにすぐれた洗浄力を発揮して
いますが、アニオン界面活性剤だけを配合した従来のシャンプーには、洗浄力が強いために、「あか」や「よごれ」と共に角層中の脂肪分(細胞間脂質)までを洗い落としてしまう欠点がありました。
 ところが、このシャンプーには一つのアニオン界面活性剤だけでなく、他のアニオン界面活性剤と両面界面活性剤がバランスよく配合されていますので、すぐれた洗浄力を発揮することは勿論ですが、前述のような欠点がなくなり、非常に理想的なシャンプーということができます。
 その上、シルク蛋白由来の保湿剤などが配合されていますので、皮膚にしっとりした感じを与えることになります。

※ また、耐硬水性があり、温泉中の金属イオンを捕獲し、硬水でも泡立ちを良くする成分が含まれていますので、温泉での使用にも最適で、アトピーの人も安心して使うことが出来ます。

※ 更にまた、普通の中性洗剤と違って、泡は分解しやすく、公害を残しません。

※ 以上の他、ラベンダー油が少し入っているので、使用時にかすかにラベンダーのさわやかな香りと、使った後のさっぱりして気持ちが一緒になって、使うのが実に楽しいシャンプーです。




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