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皮膚の栄養

No.12 / 2001年10月17日

 昔から、よく化粧品によって肌の栄養が与えられると言われてきましたが、これは誤りで、実際には皮膚の栄養は血行を介し血液によって与えられるものなのです。
皮膚の働きのさかんな時は表皮の細胞は次々に新しくつくられ、表皮の基底層でつくられた細胞はだんだん上に押し上げられて形が変わり、細胞がこわれて最後は角質のものになって剥げ落ちて行くわけですが、これには4週間を要します。
また、真皮の繊維と繊維の間を埋めている基質という半ばゼリー状の部分には豊富な栄養分が沢山含まれており、その発達がいいと繊維の発育は良く、皮膚に張りを与えることになります。性ホルモンの働きがさかんになると皮脂腺の発達も良く、皮脂の分泌も多くなり、その結果皮膚の表面に「つや」を与え、皮膚を柔らかく滑らかにしています。
皮膚の血行が衰えて新陳代謝が悪くなると、表皮の細胞をつくる働きがにぶくなり、その結果表皮は薄くなり、角層という部分が逆に薄くなるので「きめ」が荒くなります。
また、真皮を構成する繊維の発達が悪くなり、そのために皮膚の弾力性が失われ、小じわを生ずるようになります。そして、これと並行して皮膚に含まれる水分の量も少なくなり、皮膚はしなびてきます。 一方、汗腺の働きも低下して皮膚は乾燥しますし、皮脂腺の働きも衰えて皮脂の分泌は少なくなり、そのため皮膚は「なめらかさ」や「つや」を失ってしまいます。  


真皮の構造と皮膚の栄養


表皮の下にある真皮は、普通2~3mm位の厚さがあり、表皮よりもずっと厚く、皮膚の95%を占めています。
真皮の部分を顕微鏡でみますと、大小の繊維が縦横に折り重なってできた組織であることがわかります。 この繊維には三種類あって、コラゲンというタンパク質よりなる太くて大きい膠原繊維がその大部分を占め、この間をエラスチンという物質からなる細くて曲がりくねった弾力繊維が走り、このほかにレチクリンという別のタンパク質よりなる更に細かい細網繊維が特に表皮と真皮の堺や、血管周囲、汗腺周囲に発達しています。
このような真皮を構成する繊維のうち、とくに膠原繊維は真皮深層に行くにつれて太くなり、大体皮膚の表面に平行に走っています。 そして、その走行は身体の部位によりほぼ一定しています。
膠原繊維は太くて真皮繊維の大部分を占めているので、皮膚に加えられた機械的刺激に対して強い抵抗力を有し、身体内部を保護しています。また、弾力繊維は弾力性に富むので、皮膚に柔軟性や弾力性を与えています。 老年になると、この繊維は変性を起こして萎縮し、切れ切れになるので皮膚は弾力性を失い、「小じわ」を生ずるようになります。





基質について


このような繊維の間には隙間がありますが、この隙間には基質といって水分をはじめ電解質やタンパク質、炭水化物のような皮膚の新陳代謝に必要な成分が半ばゼリー状の液体としてつまっています。
この中の代表的な成分である酸性ムコ多糖類としてヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、へパリンなどがあげられます。
ヒアルロン酸: 水分の供給、体液や電解質の交換に重要な役割を果たしています。 即ち、 水分を保持し、酸素や栄養分その他、細胞が産生したケミカルメディエーターが自由に搬送される環境をつくっています。
コンドロイチン硫酸: 蛋白質と結合して組織の維持にあずかっています。 その発達がいいと繊維の発育はよく、皮膚に張りを与えることになリます。


1. ヒアルロン酸 について:
ヒアルロン酸は保湿力が極めて強力で、乳幼児の真皮に豊富に含まれています。
しかし、加齢と共に減少しますので、次第に張りのない、たるんだ皮膚になります。
また、 分子量が大きいために外用では吸収されず、真皮のヒアルロン酸を増加させることは出来ません。 しかし、角層レベルでは保湿作用が発揮できます。


2.へパリン様物質とその応用
これにヒントを得、酸性ムコ多糖類を主成分とするへパリン様物質を使用してヒルドイド軟膏がつくられました。


※ ヒルドイド軟膏の特徴
① 保湿作用(尿素含有軟膏と同等あるいはそれ以上有用の可能性を示す)
② 経皮吸収が認められている
・ 水分の保持
・ 体液や電解質の交換に重要な役割を果たし、栄養の摂取にあずかる
③ 血行促進
この ①、②、③が一緒になって本当の意味での栄養クリームとしての力を発揮することができます。


3.コラーゲン とその応用:
コラーゲンは蛋白質の一種で、細胞や血液の中の蛋白質のように水に溶けた状態では存在せず、繊維をつくっています。
20年以上前に、西ドイツで化粧品に使用されましたが、その時は皮膚に塗ったコラーゲンが皮膚に吸収され、年取ったコラーゲンと置き換えられ、皮膚の若返りに役立つとされました。
しかし、たとえ可溶化したとしても、分子量が30万もある巨大なコラーゲン分子が表皮というバリケードをくぐりぬけ、真皮の中まではいるとは考えられません。
それでは一体なんのためにコラーゲンを化粧品に混ぜて皮膚に塗ったのでしょうか、多くの研究者の認めたのは、コラーゲンの保湿効果でした。
コラーゲンは親水性のアミノ酸含有量の高い蛋白質であり、沢山の水分子を保持することができます。


※ コラーゲンの注入
コラーゲンの溶液をそのまま皮膚内に注入すると、注入されたコラーゲン溶液は体液で中和され、体温にまで温められて皮膚の組織の中で繊維をつくります。

※ 極小微ミクロ・コラーゲンの開発 … 肌の皮下にまで浸透!
最近、特殊電気分解によって、従来の1000分の1から10000分の1ほどの極小微コラーゲン分子がつくられ、この超ミクロのコラーゲンを皮膚に浸透しやすくさせることに成功しました。


4.マッサージの効用
マッサージは皮膚の血行やリンパの流れをよくし、皮膚の働きをさかんにするものです。その方法は皮膚の繊維の走っている方向(これを割線方向と言っており、毛の生えている方向、顔では顔面筋の方向と大体一致している)に行うのが正しく、そうすることによって繊維に程よい刺激を与え、繊維を強くし、一層皮膚に張りを与えることになります。

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