鳴海クリニック <消化器内科・内科・外科・皮膚科>

クリニックレポート(個別記事)

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アレルギー疾患の治療とわたしの考え方
NO.146 2006/3/25

 これからお話しすることは、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹などの日常診療に際して、いつも患者さんに説明していることです。

問診に際して

 問診の際よく問いただすことは、「過去においてアレルギー性の病気に罹ったことがありますか」、「両親または祖父母のどなたかにアレルギー性の病気に罹った方がいますか」ということです。
 それは、アトピー性皮膚炎などはいきなり起こるのではなく、その病気の素因が家系に潜んでいると思うからです。つまり、アトピー性皮膚炎にかかりやすい「すじ」が家系にあるか否かを探るわけであります。

治療にあたって

 アレルギー疾患の治療に際しましては、症状を細かに詳しく診ることは勿論ですが、検査によってもアレルギーの指標となる所見を参考にし、アレルギーの有無を確認する必要があります。
 それには、下図のように、最もアレルギーを起こしやすい物質がダニをはじめとして12種類ありますが、そのどれかに対するアレルギーがあるか否かを鑑別するテスト、即ちアトピー鑑別試験によって、まずこれを決めることができます。
 次に、そのアレルギーがどの程度のものか、ひどいのか軽いのかを決めなくてはなりませんが、それは採血の際、同じ血液でアレルギーの指標となる血清中のIgE(非特異的IgE)を同時に検査することによってわかります。

 この場合、何のアレルギーが一体どのくらいあるかということを知ることも大切で、必要に応じて検査しますが、通常の場合それをとくに行う必要はありません。
 何故なら、後で述べますように、何のアレルギーがどの位あろうとも、いわゆる非特異的減感作療法と言って、下図に示すような注射を1~2週間に1回繰り返して行うことにより、すべてのアレルギーをうすくすることができるからです。そして、この場合の指標となるものがIgEの値です。

 アトピー性皮膚炎を例にとってみますと、下図のように、一つは完治したと思われる症例ですが、抗アレギー薬を上手に使いながら2週間に1回の非特異的減感作療法を繰り返すことにより、5年間の治療で高かったIgEも正常範囲に安定し、治療を中止して1年を経過しても臨床的に治癒と判断した症例です。いま一つは、不規則ながら約6年間の治療によりかなり軽快しましたが、IgEの値がまだかなり高い状態を示している症例です。










アレルギー疾患の相互関係について

 アレルギー素因をもつ人は、特定のアレルギー疾患が単独で発症するよりも、むしろいくつかのアレルギーを併発する方が一般的とされています。

 アトピー性皮膚炎に喘息、アレルギー性鼻炎が合併することはよく知られています。
 本邦での合併率は15~20%と言われ、欧米では20~30%と言われていますが、成人型のアトピー性皮膚炎では50~60%の高率で合併が認められており、高年齢になるほど、その合併率が高くなる傾向が見られことが報告されています。
 この3月に経験した症例についてみますと、アトピー性皮膚炎151例中9例(6%)に、慢性蕁麻疹91例中3例(3%)にそれぞれ花粉症の合併がみられました。

 また、アトピー性皮膚炎と花粉症を合併している患者さんでは、花粉症の症状のひどい時はアトピー性皮膚炎の症状は軽くて大したことなく、一方が悪化している時には一方は落ち着いているという、いわゆる「シーソー現象」を示すことが知られています。

 以上の検査によって証明されるようなアレルギーがある場合、これが気管支に現れると喘息となり、皮膚に現れると蕁麻疹のかたちで現れたり、湿疹のかたち、つまりアトピー性皮膚炎のかたちで現れたりします。そして、これが鼻に現れるとアレルギー性鼻炎となり、眼に現れるとアレルギー性結膜炎となりますが、その原因が花粉にある場合を花粉症と呼んでいます。

 つまり、アトピー性皮膚炎と喘息、アレルギー性鼻炎とは同じ機序が働いて起こる病気であり、アレルギーが起こる臓器が皮膚、気管支、鼻粘膜と異なるだけであるという考え方が大きく広がっています。

 この様子は、3つの山がある氷山に例えられます。つまり、この山のいずれかが海面に出現するかによって、いずれの症状が出現するかが決まるわけで、この考え方を基にしたアレルギーマーチという考え方も出てくるわけであります。
 つまり、年齢が長ずるに従ってアレルギー反応が積み重ねられ、だんだん症状がひどくなったり、その間にアトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎が交互に出たり消えたりしながら進行して行くことにもなりますが、いずれにしても、アトピー性皮膚炎と喘息、鼻炎はともにIgE抗体が関与して起こる病気であり、互いに密接な関係にあることが一般に受け入れられています。
 

当クリニックにおけるアレルギー疾患の治療モデル

1.問診によって、アレルギーの素因を探る。
    ↓
2.検査によって、アレルギーがあるか否かを診る。
    ↓
3.アレルギーがあれば、その程度を探る。つまりIgEが高いか低いかを診る。
    ↓
4.IgEが高い場合、非特異的減感作療法を行いながら抗アレルギー薬を上手に使う。
    ↓
5.また、このようなアレルギーがある場合、更に自律神経の方から、或いは内分泌の方から問題点を探り、問題のある場合は三位一体の治療概念に基づいた治療を同時に行う。
    ↓
6.局所の処置 
 外用剤を適宜取捨選択し、必要に応じて点鼻薬・点眼薬の使用

 いずれにしても、アレルギー疾患の治療においては、臨床症状をつぶさに観察することは勿論ですが、IgEを指標にして治療を行い、その値の下がり具合を参考にしながら治癒の判断をすることにしています。


参考資料

※ No.28 アレルギー検査について(2002/2/13)
※ No.49 慢性蕁麻疹に対する非特異的減感作療法の効果(2002/7/10)
※ No.74 アトピー性皮膚炎と、わたしの処方(2003/11/2)
※ No.95 皮膚病変と関係のある検査値について(2004/5/31)
※ No.141 再び三位一体の治療概念について(2005/12/30)
※ No.144 アトピー性皮膚炎の病態指標について(2006/2/15)
※ No.145 わたしは抗アレルギー薬をどのように使っているか(2006/3/10)

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