鳴海クリニック <消化器内科・内科・外科・皮膚科>

クリニックレポート(個別記事)

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「みずむし」を治す(Ⅱ)
NO.40 2002/5/8

3)「みずむし」を完全に治すために

 「みずむし」ほど原因のはっきりした皮膚病はありません。
 昔から色々な民間療法があげられていますが、医学の進歩した今日では、医師による適切な治療が一番です。
 治療の第一歩は適確な診断にあります。「みずむし」に似た皮膚病がいくつかありますので、専門医の診察を受けることが大切です。
 かきむしって炎症がひどく化膿している場合には、まずこれを治すことが先決で、その後に「みずむし」の治療にとりかかリます。

※ 「みずむし」の薬
 「みずむし」の薬は、菌の発育をおさえたるもの(静菌作用)と、菌を殺すはたらきを有するもの(殺菌作用)に大別されます。
 最近では、このような働きをもつ薬が色々な型で出されていますが、軟膏の場合は、その基剤の性質をよく知った上で症状に応じて薬をえらぶ必要があります。
 「みずむし」だから何でも「みずむし」の薬を使っていいわけではありません。使い方がわるいと、かえって余計に悪くなることがあります。

※ 爪の「みずむし」の場合 
 この場合、ただ軟膏を塗るだけでは菌のいる角質層の深いところまで薬がしみこんで行かないので、角質を軟化させ液状の薬が爪にしみ込みやすくするために、よく保湿クリーム(尿素軟膏)を併用します。しかし、爪がやられると、とても外用療法のみでは無理で、完全に治すためにはどうしても内服療法が必要になります。

※ 治療期間について 
 「みずむし」の菌は皮膚の角質層で繁殖していますが、この角質細胞がはがれて行くまで2週間程度かかります。 
 したがって、「みずむし」を完全に治すためには、菌糸が角質層から離れるまで最低2~3週間は塗りつづける必要があります。 しかし、足の裏がかたくなる角質増殖型の「みずむし」では、外用薬が効きにくく、一般に3~4ヶ月、あるいはもっとかかる場合があります。爪の場合は後でお話します。
 わたしの経験では、治療後6年もたってかなりよくなりましたが、どうもすっきりしないので、念のため検査したところ、意外にも菌がみつがったという苦い経験もありますので、注意しなければなりません。

※ 飲んで効く「みずむし」の薬 
 ここ40年間、爪の「みずむし」の唯一の治療法は、静菌作用を有するグリセオフルビンの内服のみでした。 ところが近年、高い有効性をもつ抗真菌剤の内服薬として、殺菌作用を有するイトラコナゾール(イトリゾール)とテルビナフィン(ラミシール)が発売されたことから、従来の治療に比べて治療期間の短縮が可能になりました。
 爪は1日に平均0,1mm伸びるとされていますから、おかされた部分の長さを測り、それを0,1mmで割りますと、いい爪が生えかわるに必要な日数が出てきます。理論的にはこれでいいのですが、手の爪では少なくとも3ヶ月以上、足の爪では6ヶ月以上かかりますから、それ以上の期間、場合によっては1年以上は内服を続ける必要があります。
 ただ、イトラコナゾールの場合は、グリセオフルビンと違って菌を殺すはたらきをもっていますので、グリセオフルビンのように長く飲む必要はありません。

※ 1 week therapy について
 イトリゾールを1日2カプセルを夕食後内服、これを1週間続けてその後3週間休薬、これを1クールとしてまず3クール(3ヶ月)行ない、3ヶ月服用して爪の改善傾向が認められれば引き続き投与するようにします。 

4)「みずむし」の治りにくい理由 

 「みずむし」の中でも角質増殖型、爪の「みずむし」は前述のように、とりわけ治りにくいことがお分かりでしょう。
 また、「かゆみ」がひどい時には熱心に治療しますが、「かゆみ」がとまって少しでもよくなると、すぐに治療を止めてしまう人が多いのが現状です。
 一般に、「みずむし」を含めてありふれた皮膚病は「命とり」になるような病気ではないために、それ程深刻に考えず、とことんまで治す人は少ないようです。これも「みずむし」を治りにくくしている原因でしょう。
 更にまた、糖尿病のような病気があると、「みずむし」にかかりやすいし、「みずむし」を治りにくくしますので、糖尿病のコントロールを同時によく行うことが大切です。一般に慢性病のコントロールには根気が必要です。
 「みずむし」が治りにくい場合には、更に経過により再チェックをして診断が正しいかどうか、もう一度よく見直す必要があります。 
 また、後で述べる足のスキンケアが徹底しないと、「みずむし」の治りもよくありません。

5)「みずむし」を防ぐ足のスキンケア 

 「みずむし」は人間が靴を履くようになって起きてきた皮膚病で、足を常にきれいにして乾燥しておくことができれば、「みずむし」にかかることはないでしょう。 
 靴を履くことを余儀なくされている現代人は少なくとも毎日足を丹念によく洗い、とくに趾間をよく洗うことを忘れないようにすることが「みずむし」の予防に最も大切なことと思います。
 わたしが嘗て行った入浴調査によりますと、1000人中185人に「みずむし」の人がいましたが、趾間をよく洗う人の方が多少「みずむし」の発生率が低かったようです。

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