鳴海クリニック <消化器内科・内科・外科・皮膚科>

クリニックレポート(個別記事)

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アトピー性皮膚炎と、わたしの処方
NO.74 2003/11/2

 アトピー性皮膚炎に関しましては、本ホームページのNo.7『アトピー性皮膚炎を治すために(Ⅰ)』(2001/ 9 /12)、No.8『アトピー性皮膚炎を治すために(Ⅱ)』(2001/ 9/ 19)で既にお話しましたが、 アトピー性皮膚炎の治療には内からと外からの治療が必要です。   
 そして、如何に適切な医療を提供するか、これが皮膚科医の使命です。
 はじめに、皮膚症状と検査所見をよくみること。とくに、アトピー鑑別試験(ファディアトープ)で診断を確定し、次にIgE(RIST)、IgE(RAST)で病状をよく把握することが大切です。
 ファディアトープはアトピーがあるかないかの所謂定性試験です。 IgE(RIST)は言わば定量試験で、アトピーが全体としてどの位ひどいか軽いかの目安になります。 また、IgE(RAST)というのは何のアレルギーがどの位あるのか、細部にわたるアレルゲンの定量分析です。
 そして、これらを把握することが治療方針を立てるにあたっての基準になります。
 次に 32歳の患者さんの検査所見を参考までにあげてみました。



治療のポイント

* 非特異的減感作療法(後述)を併用しながら、抗アレルギー剤を上手に使うことが大切です。
 抗アレルギー剤の使用に関しましては、既に本ホームページのNo.29『抗アレルギー剤・使い方のポイント』(2002/2/20)で詳しくお話しました。

* 次に、もう一つの原因である皮膚バリアー機能低下の是正にもピントを合わせた外用療法が大切。
 あくまでも理論に立脚した軟膏の使い方の工夫が必要で、期待される薬理・薬効作用をもつ主剤の選択と、それに適した、更に皮膚症状をコントロールするにふさわしい基材を選択することが大切です。

* 軟膏の使い方
 すでに、このホームページのNo.24『軟膏療法の基本』(2002/1/16)、及びNo.25『軟膏療法の問題点』(2002/1/23)でお話しましたが、ステロイド軟膏と普通の軟膏を、或いは単独に、或いは併用して、うまく使い分けをしながら治療します。
例えば 
 ① 1%レスタミン・5%亜鉛華・マクロゴール軟膏(水溶性軟膏基剤)
 ② 0.05%トプシムクリーム(FAPG基剤-親水性基剤)
 ③ アラントロクス軟膏(抗炎症軟膏) 
※ ①+②、または①+③ それぞれを半々によく混ぜて厚く局所に塗布。
 ④ その他の外用剤・・・フルコートF、ベトネベートN軟膏、ネリゾナ軟膏などのステロイド軟膏や、ヒルドイド軟膏、ヒルドイドソフト等の保湿剤を症状に合わせて適宜使用。
 ⑤ 必要に応じて移植免疫抑制外用薬(タクロリムス軟膏)を使用。
※ 副腎皮質ホルモン軟膏のみでは中々コントロール困難な症例に、タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)を併用すると、何等刺激症状を起すことなくコントロール出来ますし、その後プロトピック軟膏単独で治癒状態が維持できるようになります。
 
* 入浴・洗剤の使い方 ・・・ ジェイ・エヌ 全身シャンプーは温泉入浴に適し、アトピーの人に最適です。

* 非特異的変調療法について
 非特異的減感作療法ともいい、表のように色々なものがあげられますが、わたしは嘗て慢性蕁麻疹についてこのことをお話しました。No.49『慢性蕁麻疹に対する非特異的減感作療法の効果』(2002/7/10)をご参照下さい。
 その具体例を次の表に示しましたが、このような非特異的療法剤を使うことによって、内服薬、とくに抗アレルギー剤の投与量を減らすことができ、中には治癒に至らしめた症例も経験しました。
 アトピー性皮膚炎の場合も同様に、非特異的変調療法の併用によって抗アレルギー薬を中心とする内服薬を加減することが出来、外用療法と相俟って症状を著しく好転させ、中には殆んど治癒状態にさせることも出来ました。




アトピー性皮膚炎とIgEについて

 IgE抗体とアトピー性皮膚炎との関連性につきまして、常にその病態と深く関与するものとして捉えられてきましたが、IgE抗体が実際にどのように関わっているかは、不明の点が多いようです。
 しかし、臨床的には皮膚炎の増悪時にIgEが急激な上昇がみられること、罹患期間、重症度に比例して上昇がみられることが多いことより、アトピー性皮膚炎の発症、進展にIgEが関与しているものと考えられています。
 一体に、総IgEの値が高い場合に皮膚症状はひどいですが、IgEが高い割には皮膚症状が軽い場合もあります。つまり、皮膚症状が軽いけれども、検査をしてみるとIgEが高い場合がありますので、注意しなければなりません。
 ステロイド外用などで急性の増悪をコントロールすることにより、皮膚症状の改善後、数ヶ月してIgE抗体値の低下がみられるとされていますが、 わたしが50人の患者さんについて、治療経過によるIgEの変動をみましたところ、次のようなことがわかりました。



 即ち、臨床検査で、IgE値を中心に治療経過を追ってみますと、IgE値は皮疹が軽快するとともに低下することが多いということがわかりましたが、例外もあり、このような検査値の推移を患者さんに示しながら説明することも、患者さんとのコミュニケーションに大切なことと思います。

治癒の判定について

 上述の方法で治療を行いますが、ただ悪い時だけ治療するのではなく、症状を細かく観察し、とくにIgEの推移を参考にしながらその全体像を把握し、きめ細かく治療をすることが大切です。 そして、年齢的な推移、季節的な推移を参考にしなが治療修了の時期を決め、その後観察期間をおいて再発の有無を確め、最後に治癒の判断をくだすことになりますが、次にそのポイントを示します。

* 治癒判断のポイント
 ・まず、年齢的な推移を参考にして判断します。
 ・3歳までに治る人が多いので、なるべく3歳頃までに治すように努めること。 
 ・3歳までに治らなければ、思春期までに治すように努める。 大体15~16歳頃までに治る場合が多いようです。
 ・一般に夏はよく、冬に悪くなる傾向があります。
 ・大人になっても治らない場合は、中々治癒させることは困難ですが、まず上記の治療で1年間経過をみた上で決めます。
 ・なお、上述のように、IgE抗体の総量が治療によって低下することが多いので、その推移を参考にして判断します。

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