鳴海クリニック <消化器内科・内科・外科・皮膚科>

クリニックレポート(個別記事)

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わたしは抗アレルギー薬をどのように使っているか
NO.145 2006/3/10

 30種類以上もある抗アレルギー薬の中から、皆さんはどのように抗アレルギー薬を使っていらっしゃるでしょうか。
 わたしは、次のような考えで抗アレルギー薬を使っていますが、ご参考までにお話したいと思います。 
    

1.抗アレルギー薬の選び方

 最近の抗アレルギー薬・その特性を探り、薬剤使用の根拠にする。

※ 塩酸エピナスチン(アレジオン)(1994年6月販売開始)
・高い表皮移行生性を有し、遊離されたヒスタミン、PAF、セロトニン、ブラディキニン、ロイコトリエンC4に対し拮抗作用を示し、アレルギー反応を抑制する。
・その上、塩酸エピナスチン(アレジオン)は神経成長因子(NGF)の上昇を抑制し、同時にサブスタンスPも有意に抑制することがわかり、かゆみ対策に更なる伸展が期待されることがわかった。
・また、塩酸エピナスチンは抗アレルギー薬であり、Th2媒介性疾患に奏効するが、皮膚Th1病にも効果を発揮するとされている。
 即ち、塩酸エピナスチンはTh1細胞が表皮に向かって遊走し、活性化するのを抑制するとされているので、Th1細胞の浸潤を特徴とする尋常性乾癬の病態そのものを抑えるという効果が期待される。
 以上、小林 美和、戸倉 新樹両氏の論文「アレルギーの臨床25(10),2005」より

※ 塩酸セチリジン(ジルテック)(1998年9月販売開始)
とくに前治療に抵抗を示すなど、難治性の蕁麻疹に対し、切り換え療法として有用。

※ べシル酸べポタスチン(タリオン)(2000年10月販売開始)
・親和性、選択性が高いヒスタミンH1受容体拮抗作用があり、最高血漿中濃度到達時
間は1.2 時間と速やか。
・血漿中濃度の個体間の標準誤差が少ない → 個体差が少なく、一定した高い改善効果が得られる。 薬物相互作用が少ない。

※ 塩酸フェキソフェナジン(アレグラ)(2000年11月販売開始)
・高く安定した病変皮膚組織内濃度を維持することによってケラチノサイトのTh2サイ
トカイン産生を抑え、アトピー性皮膚炎の急性病型反応に治療効果を発揮する。
・脳内に殆んど移行せず、脳内H1受容体に結合しにくい → 副作用の軽減。
(No.135参照)

※ 塩酸オロパタジン(アレロック)(2001年3月販売開始)
・作用機序が多岐にわたり、従来の抗アレルギー作用(ヒスタミンH1受容体拮抗作用、ヒスタミン遊離抑制作用)の他に、サブスタンスP遊離抑制作用あり。
・適応症が広く、慢性蕁麻疹で特に効果が高く、速効性が更に上回る。
その他、尋常性乾癬、多形浸出性紅斑にも有効。
・薬効相互作用の可能性が少なく、併用禁忌、併用注意がない。抗コリン作用が少なく、前立腺肥大、緑内障の患者にも使い易い。
 また、このようなサブスタンスP遊離抑制作用は、末梢知覚神経C線維に働くことから、「かゆみ」のみでなく、痛みへの効果も期待される。
 従って、各種疾患の「かゆみ」対策のみならず、帯状疱疹の神経痛の軽減や、一般にストレスに弱い患者の治療にも応用されることが充分考えられる。
 No.118 かゆみとその対策~新しい見地から(2005/4/15)

※ ロタダジン(クラリチン)(2002年9月販売開始)
・1日1回の内服で強力、速効性。 安全性が高い。眠気が少ない。

2.経過をみながら取捨選択すること(No. 104, 131 参照)

 慢性蕁麻疹の治療を例にあげると、まずアタラックスの投与から始め、少なくとも一週間の経過を見ながら、矢印のように処方を変えて効果を判定することにしている。



1)朝食後,昼食後には中枢抑制作用の弱い薬物を
 例:ニポラジン,アレジオン
2)夕食後には中枢抑制作用のやや強い薬物を
 例:アタラックスを中心に
3)症例に応じて
・アレルギー因子の強い症例では、精神安定作用のある薬物と抗ヒスタミン作用のある薬物との併用
 例:アタラックス+アレジオン 
4)独特の二剤併用について
  H1ブロッカーにあまり反応しない難治性慢性蕁麻疹に対して、H2ブロッカーを併用して有効であることが報告されているが、これはH2ブロッカーがH1ブロッカーの代謝分解を阻害し、H1ブロッカーの濃度が上昇するためと考えられている。
 H1-ブロッカー : ヒドロキシジン(アタラックス)、メキタジン(ニポラジン)
H2-ブロッカー : ファモチジン(ガスター)、シメチジン
とくに、アタラックスP25mg1~2C+ガスター20mg1~2Tの併用に著効が得られる場合が多い。

3.アレルギー性疾患の治し方 ~ 蕁麻疹・アトピー性皮膚炎を中心に

1.三位一体の治療概念を生かし、抗アレルギー薬を上手に使って治す。(No. 141参照)
 アレルギー性皮膚疾患、とくに慢性蕁麻疹などの治療に際しましては、アレルギーに対する処置は勿論ですが、場合によっては神経とくに自律神経並びに内分泌の影響を併せて考えた、いわゆる三位一体の概念に則った治療が必要と思われます。
 アレルギーと神経との関係につきましては、このホームページNo.122 皮膚のアレルギー性炎症と神経とのかかわり(2005/6/15)のところで詳しく述べておきましたし、これに関する治療上の得策として、最近開発された塩酸オロパタジン製剤(アレロック)の応用について、おなじくこのホームページのNo.118 かゆみとその対策~新しい見地(2005/4/15)のところで解説しておきました。
 また、内分泌との関連が考えられる場合は、これも同じホームページのNo.114 プレグナンジオールの有用性 (2005/2/15) のところで述べておきましたのでご参照ください。

2.非特異的減感作療法~非特異的変調療法を併用する。(No. 90 参照)
 下記のように、非特異的減感作療法の目的で併用する注射を重ねることによって、内服を毎日1回から2日に1回、更に3日に1回と漸減し、1週間以上内服しなくても蕁麻疹が出なくなった状態で一応治癒とします。

3.アレルギーマーチをうまく利用して治療経過を診ること。(No. 119 参照)







 この程、東京逓信病院部長・江藤隆史先生によって、抗アレルギー薬使用の調査が発表されていますが、次のようにまとめることが出来ます。
 即ち、アトピー性皮膚炎患者91名を対象に臨床上使用頻度が高い次の薬剤6剤についてアンケート調査を行った結果、効果に関しては薬剤間であまり差がないことが示されており、「眠気の強い抗ヒスタミン薬が治療効果が本当に高いか」という問題は、必ずしもそうではないことが確認されたとしています。
 
 塩酸フェキソフェナジン(アレグラ)
 塩酸セチリジン(ジルテック)
 塩酸オロパタジン(アレロック)
 塩酸エピナスチン(アレジオン)
 ロラタジン(クラリチン)
 エバスチン(エバステル)

 そして、今回の調査結果より、「効果に関しては薬剤間であまり差がないことが示されていることから、むしろ患者の服薬コンプライアンスを確認しながら、掻破行動の抑止を期待して効果と安全性の総合的な評価に基づいて薬剤を選択していくべきであろう」としていますが、如何でしょうか。もっと薬剤の特性と、医師の経験に基づく指導力が発揮できないものかと思う次第です。

参考資料(本ホームページ・クリニックレポートより)

●No. 49 慢性蕁麻疹に対する非特異的減感作療法の効果(2002/7/10)
●No. 90 抗アレルギー薬と、使い方の実際 (2004/4/11)
●No. 104 当クリニックにおける抗アレルギー薬使用の実際 (2004/9/15)
●No. 119 アレルギーマーチ(2005/4/30)
●No. 122 皮膚のアレルギー性炎症と神経とのかかわり (2005/6/15)
●No. 131 最近の研究と抗アレルギー薬の使い方 (2005/9/5)
●No. 135 抗アレルギー薬の役割 (2005/10/20)
●No. 140 わたしは皮膚病の患者さんを如何に治しているか(2005/12/15)
●No. 141 再び三位一体の治療概念について(2005/12/30)
●江藤隆史:「眠気の強い抗ヒスタミン薬と眠気の弱い抗ヒスタミン薬において アトピー性皮膚炎患者における効果に違いがあるのだろうか?」(皮膚アレルギーフロンティア Vol.3 No.4 2005-12)  

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