鳴海クリニック <消化器内科・内科・外科・皮膚科>

クリニックレポート(個別記事)

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尋常性乾癬とサイトカイン
NO.172 2010/12/28

サイトカインとは

ほかの細胞に信号を伝える細胞由来の物質

 サイトカインとは、細胞によって合成されたタンパク質あるいは糖タンパク(ペプチド)で、ほかの細胞に作用をする働きをもったものの総称で、cyto(細胞)とkine(作動物質)の2語から構成された造語です。
 サイトカインは、ある細胞が別の細胞に情報を伝えるための物質―すなわち「細胞間情報伝達物質」です。例えば、Th1細胞から産生されるインターフェロンγはマクロファージに「活性しろ!」という信号を伝え、Th2 細胞から産生されるインターロイキンはB細胞に「IgE抗体を作れ!」と信号を伝えるといった具合です。
 また、サイトカインは下記の表のように多種類の細胞(表皮細胞、ランゲルハンス細胞、マスト細胞、好酸球)から産生され、細胞間の活性化、増殖などの情報を伝達する液性因子です。
 サイトカインによって信号を受け取る細胞は、それぞれ自分に作用するサイトカインに特異的なレセプター(受容体)をもっています。
 つまり、どのようなレセプターを持っているかによって、どの細胞から発せられた信号を受け取るかが決るわけです。 また、1つの細胞には複数の異なるレセプターが存在するため、種類が異なる複数のサイトカインが同時に作用したり、互いにその効果が打ち消しあったりすることもあります。
 

サイトカインの働きでリンパ球が活性化する

 いま、リンパ球が活性化してIgEが作られるまでの過程をみてみますと、まず、異物を貪食したマクロファージはインターロイキン1というサイトカインを産生します。インターロイキン1には異物の侵入を知らせる警報のような役割があり、具体的にはマクロファージが提示する抗原と結合したTh2細胞を活性化します。つまり、Th2細胞は、第一に抗原レセプターを介して抗原と結合し、第二にインターロイキンが作用することで、実際に活性化するわけです。
活性化したTh2細胞は続いてインターロイキン4というサイトカインを産生し、インターロイキン4は抗原と結合したB細胞を活性化してIgEの産生を促進します。B細胞も、①抗原との結合、②インターロイキン4、と2つの刺激が合わさってはじめて活性化し、抗体の産生を開始することになります。
 このようにリンパ球はインターロイキンというサイトカインの働きによって活性化するわけです。

 次に三重医大・水谷教授の資料を参考にして、皮膚が産生するサイトカインとサイトカインの機能別分類を掲げてみました。







乾癬の病態と治療に関する最近の考え方
 
 乾癬は鱗屑を伴った慢性の炎症性角化症です。
 皮膚の最外層の表皮の代謝サイクルが短くなり、角化細胞が鱗屑となって剥がれ落ちます。これに炎症が加わり皮膚は赤く盛り上がってきます。正常な表皮は45日サイクルですが、乾癬の場合は4~5日と極めて短く、新陳代謝が病的に亢進した状態になっています。乾癬を起こす原因は明らかではありませんがが、遺伝的な要因を有する患者さんが外部から何らかの要因が加わり、免疫異常が生じ炎症が起きることが判ってきました。

 組織学的には表皮細胞の過増殖・分化異常、血管新生、活性化T細胞の表皮/真皮への浸潤と、表皮内への多核白血球の浸潤、とくに角層への好中球の浸潤を特徴とする疾患です。その病態は、活性化T細胞を主体とした炎症細胞が乾癬皮疹の成立により重要な役割を果たしており、乾癬の皮疹部では、表皮細胞およびT細胞を主体とする炎症細胞から産生される種々のサイトカインが複雑に絡み合い、お互いを刺激しつつ、乾癬皮疹形成に関与していますが、とくに重要なサイトカインはTNF-α, IL-23, IL-17, IL-22 とされています。
 乾癬では、TNF-αなどのⅠ型サイトカインが多く産生され、浸潤しているハイパーT細胞もTh1が優位になっています。IL-12はハイパーT細胞をTh1へ分化させ、活性化する作用があります。一方、最近、乾癬の皮疹部にはTh1だけでなく、Th17のハイパーT cell が多数浸潤、皮膚で作られるIL-23 がTh17 に作用すると、Th17 が活性化し表皮細胞を刺激、その増殖と活性化をもたらします。つまり、IL-23 がTNF-αと並んで乾癬の活性化の鍵を握っているとされています。
 
 このような炎症を起こす物質がいくつか判明してきましたが、最近、その中でTNF-αと呼ばれる生体内物質の役割が注目されています。TNF-αは乾癬の病巣部に多量に存在し、それ自体が炎症を引き起こしたり、炎症を起こす別のサイトカイン産生を促したりしています。このTNF-αを阻害する画期的な新しい生物学的製剤が今年の1月に承認されました。

※ TNF-α 阻害剤について

 現在使用されているものは、一般名アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)とインフリキシマブ(レミケード)の2種類です。多少構造上に違いがありますが、効果や副作用はいずれも同程度とされています。大きな違いは投与法で、アダリムマブは皮下注射に対してインフリキシマブは静脈注射です。


※ 塩酸エピナスチンが乾癬に効く理由

 尋常性乾癬はTh1病の代表疾患であり、Th2の集積、つまりアレルギーに関わる反応とは相反するものと考えられています。
 そこで、T細胞に対するケラチノサイト由来のケモカインに着目し、塩酸エピナスチンの影響を検討した結果、塩酸エピナスチンは培養ケラチノサイトのTh1ケモカイン産生、免疫担当細胞表面分子の発現を抑制することが明らかとなりました。
 塩酸エピナスチンはTh1細胞が表皮に向かって遊走し、活性化するのを抑制することが可能であり、同薬は尋常性乾癬においてTh1細胞の浸潤という乾癬の病態そのものを抑える効果が期待できます。

※ 外用療法について・・・とくに活性型ビタミンD3外用薬の効果

 一方、ビタミンD3外用療法が、最近における乾癬の新しい治療法の主流となっていますが、近年、D3の活性体がカルシウム代謝調節ホルモンとしての働きをもっている以外に、ビタミンD3受容体を介して細胞の増殖抑制、および分化誘導作用を有することが明らかにされ、とくに尋常性乾癬に対して有効であることが報告されています。
 ビタミンD3受容体は角層を除くすべての表皮細胞、皮膚線維芽細胞に存在することが知られています。さらに1/2から2/3のランゲルハンス細胞、単球、T細胞にも存在し、血中のBおよびT細胞は活性化された後にビタミンD3受容体を発現することが知られています。
 ビタミンD3の皮膚における作用の一つは受容体を介してのものが考えられますが、受容体を介さないものもあるとされています。
 ビタミンD3には表皮細胞増殖抑制効果、表皮細胞分化促進作用に加え、表皮細胞からのインターロイキン(IL-1)やIL-6/8などのサイトカイン産生抑制、IL‐1刺激によるT細胞の増殖抑制・免疫グロブリン産生抑制、T細胞からのIL‐2、6産生抑制、多核白血球の遊走抑制などの炎症細胞に対する効果も知られています。

※ シクロスポリンはインターロイキン-2(IL-2)というサイトカインを抑えて、尋常性乾癬に効果を発揮します。

 Tリンパ球によるインターロイキン2,5,5,13やインターフェロンγなどのサイトカイン転写を特異的かつ可逆的に抑制し、ひいてはサイトカイン産生と遊離を抑制します。これはカルシニューリンによる細胞内情報伝達阻害によるもので、臓器移植による拒絶反応の抑制や自己免疫疾患の治療に使用されます。
 副作用として、腎機能障害(特にクレアチニン値上昇)、高血圧、多毛、シクロスポリン歯肉増殖症などがあります。

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