アレルギー検査について 
NO.28 2002/2/13

 蕁麻疹や湿疹、皮膚炎の治療に際して、問診や他覚的所見もさることながら、検査の上からもアトピーによるものか否か、そしてアトピー陽性の場合それがどの程度ひどいか、また、アトピー陰性の場合、他に何かのアレルギーが考えられるかどうか鑑別する必要に迫られます。
 このような観点から、実地診療上もっとも便利と思われる検査法を次に紹介しましょう。

アレルギーの検査方法 
 アレルギーの検査方法は大きく分けて次の二つに分けることが出来ます。
体内診断(in vivo):私達の体に直接疑わしいアレルゲンを作用させて反応を見る。
   皮膚試験(皮内反応、パッチテスト)
   誘発試験(内服、吸入、鼻粘膜)
   食物除去、負荷試験 
体外診断(in vitro):血液を採って調べる 
   特異的IgE検査
   ヒスタミン遊離試験(HRT)
   リンパ球刺激試験 

1.まず、何等かのアレルギーが起こっているのかどうか? それがアトピーによるものかどうか?
 これにはRISTの方法で血中総IgEの濃度を測ります。
→ これが高値か低値かによってアレルギーの程度がわかります。
 次に「ファディアトープ」によってアトピー鑑別試験を行ないます。
→ これによってアトピー素因の有無を判断することができます。
 そこで、「総IgE」と「ファディアトープ」のコンビネーションによって、次のようなことがわかります。



 ファディアト-プ(多項目吸入性アレルゲン特異的IgE測定): 12種類の吸入性アレルゲンを固相化した試薬を用いて特異的IgEを検出するもので、アトピー型と非アトピー型との鑑別に非常に便利です。

 また、RASTの方法で更にアレルギーの詳細を把握することが出来ます。 つまり、多数アレルゲンを一度に検索でき、半定量として血清中のIgE抗体量を相対的に読み取ることが出来ます。

2.接触アレルギーの検査について 
 アレルギー性接触皮膚炎は、接触した物質が抗原になって起こるTリンパ球を介する厳燭離▲譽襯ー反応で、原因抗原の検索にはパッチテストがよく使われます。
パッチテスト試薬は、日常の生活用品、装身具、食品、医薬品、及び歯科用材料等に使用されている種々の物質について用意されています。
 方法は、試薬をテスト用のテープの貼付面に塗布して2日間貼付し、剥がしてから30分から1時間後及び1日後に以下の基準により対照と比較しながら判定します。
反応なし(−)、弱い紅斑(+?)、紅斑+浸潤+ときに丘疹(+)、
紅斑+浸潤+丘疹+小水泡(++)、水疱(+++) 
 その判定はICDRG(国際接触皮膚炎研究グループ)の判定方法に準じます。

3.薬物アレルギーの検査について 
 薬物アレルギーとは、薬物の投与に際して生体内で発生する、薬物またはその代謝産物を抗原とし、それに対応する抗体あるいは感作リンパ球との間で発現する有害な免疫反応のことです。
 アレルギー性薬物反応と目されている病態の中には、その形成にアレルギー性の機序が関係していることが明らかなものから、不明なものまであります。
 薬物アレルギーを、症状・所見から、儀拭↓況拭↓祁拭↓厳燭吠けるCoombsとGellの分類は、アレルギー以外の機序による反応をも含む薬物過敏症の理解に便利です。
 薬剤投与によって起こる全身性アナフィラキシー反応は日常わたし達が最も懸念する反応ですが、特異的IgE抗体産生に基ずく儀身娠によるものとされています。
 また、IgE抗体の関与を証明し難いけれども同様の臨床症状を示すものに、アナフィラキシ―様反応というのがあります

 薬剤により惹き起こされた症状がアレルギーの病型のどの型によるものかを推定し、それにあった検査法が必要になります。 
 
1)薬物特異的IgE抗体の測定について 
 即時型アレルギー反応を示す患者血清中に薬物特異的IgE抗体がしばしば証明されます。
 しかし、吸入性抗原や食餌性抗原と異なり、実際にこれを証明するためには薬剤結合蛋白を吸着させたpaper disk を必要とするため、薬剤毎にシステムをセットアップしなければなりませんので、現状では困難が多く、実際のところ臨床面ではまだ実用化されていないようです。

2)ヒスタミン遊離試験(HRT検査)
  HRT検査は私達の体を使って直接反応を見る代わりに、血液中の白血球を使って体の外で反応を見る検査法です。白血球にアレルゲンを作用させたときに、ヒスタミンが放出されるかどうかで判断するわけです.
 つまり、アレルギーが起こる場合、マスト細胞にアレルゲンが作用してヒスタミンが放出されますが、このヒスタミンの測定は体で起こっている実際の反応をよりよく反映するものです。
 HRT検査はマスト細胞の代わりに血液中でマスト細胞と同じ働きをする好塩基球(白血球)を利用してヒスタミンの遊離量を測定する方法です。
 HRTは細胞からのchemical mediator の遊離反応を見ることから、より生体内の反応に近いものです。一度に複数の薬剤を検査できるなどの優位性もあり、臨床の場で応用されることが望まれています。

3)リンパ球刺激試験(DLST検査)
  遅延型薬物アレルギーを有する患者の末梢血液中に製剤によって感作されたリンパ球が存在するか否かを、患者末梢血単核球と薬剤のco-cultureした後、リンパ球の増殖率で検出しようとする方法です。 しかし、陽性率は10%程度であり、手間のかかる検査ということもあり、現在のところそれほど普及していないようです。 

4)皮膚テスト
*プリックテスト: 儀織▲譽襯ーの診断に最もよく用いられています。抗原液(被検薬剤)を一滴たらし、抗原液を通して皮膚のごく表面を細い針で出血を起さない程度に軽く刺し、少し持ち上げるようにします。 15〜20分後に判定し、膨疹5mm、紅斑15mmのいずれかを満足すれば陽性とします。
 皮内反応: 一般にはプリックテストより1000〜1万倍に希釈した抗原液を用い、
対照液(通常は生理食塩水)についても同様のテストを行ない、15〜20分後に膨疹と発赤を測定します。
*パッチテスト: 厳織▲譽襯ーの関与している薬剤アレルギーの診断に用います。
 被検薬剤を5〜20%程度の濃度に混ぜたワセリン軟膏を直径1cmのリントに付けて皮膚に貼り、絆創膏で固定し、48時間後に判定します。
 陽性の場合には、局所の紅斑(+)、紅斑+浮腫(++)、紅斑+浮腫+丘疹、小水疱(+++)、水疱(++++)が認められます。

 薬物アレルギーを疑っていろいろ検査してすべて陰性であっても、薬剤アレルギーは否定できません。どうしても最終的にはprovocationテスト(例えば、内服試験)に頼らざるを得ません。しかし、これがアナフィラキシーであったり、重症の薬疹であったりしますと、危険を伴いますので、おいそれとは出来ません。 簡便で感度の高いin vitro 検査の開発が切望される所以でもあります。

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