わたしは皮膚病の患者さんを如何に治しているか
NO.140 2005/12/15

1.とくに治りにくい患者さんを診る場合
 皮膚症状並びにその治療経過を細かくみることは勿論ですが、その原因なり、それを治りにくくしている背景を探るため、必要な諸検査を行い、この検査所見を参考にして皮膚症状を診、それに合わせた治療法を選び、治療経過を診ることにしております。

2.アレルギーによる場合の治療方針
 例えば、アトピー性皮膚炎や慢性蕁麻疹の場合など、まず、検査によってアレルギーの有無を確認し、アレルギー陽性であれば更にその程度を把握することにしています。
 ついで治療に及びますが、まず抗アレルギー薬は何が一番適当かを選び、経過に応じて取捨選択し、うまく使いこなすことが大切です。
 また、内服を中止すると必ず再発が見られますので、再発しないよう、またアレルギーの原因が何であっても、いわゆる非特異的減感作療法(非特異的変調療法)を併用することにしています。
 この場合、患者さんには、“この注射を1〜2週間に1回繰り返して行うことにより、アレルギーを段々薄くすることができ、これとともに内服を段々止めて行くことができ、中止しても再発しなくなるのです。”と言っています。

3.原因がはっきりしていて、一度治せばまず再発は起こらない場合
 例えば接触皮膚炎(かぶれ)や日光皮膚炎などのひどい場合には、副腎皮質ホルモンを短期間内服投与し、出来るだけ1週間で、せいぜい2週間以内で治すよう努めています。

4.原因ははっきりしているが、刺激が慢性に繰り返されて長期の治療を必要とする場合
 例えば、美容師や調理師の手の湿疹で経過が長期に及ぶ場合、アトピーを持っている人が多いようですが、アトピーのある場合はそのほうの治療と並行して、とにかく手の症状を早く治し、デルマシールドという保護クリームを上手に使い、早く湿疹のない状態をつくり続けるよう説得しています。このことに関しましては、このホームページのNo.116 理想的な皮膚保護クリーム・デルマシールド(2005/3/15)をご参照ください。

5.わたしの言う低血圧症候群と、三位一体の治療について
 既にこのホームページのNo.69 敏感肌とその発生メカニズム(2003/9/28)、およびNo.70 皮膚と自律神経(2003/10/5) において述べましたように、このことは皮膚病を治す場合のキーポイントの一つになると思います。
 わたしの経験によりますと、割に痩せ型の女性で、肩凝りや、時にめまいを訴えて疲れやすいと言う人がいますが、多くの場合冷え性で、便秘がちで、ひどい時は生理不順を訴えたりします。そして一般に血圧は低く、私はこれを低血圧症候群、俗に敏感肌の人と呼んでいます。
 これは問診表で大体推察がつきますが、このような人はストレスに弱く、所謂荒れ性で、日光の紫外線に弱い人が多いようです。また、皮膚描記症がしばしば陽性を呈します。
 わたしはこれを自律神経障害(または,自律神経の緊張異状)の皮膚表現と考えて、日常診療に役立てています。

※ 三位一体の治療について

 いま、慢性蕁麻疹の患者さん5人についてみますと、何れも女性ですがアレルギーの程度は様々で、中にはアレルギーを証明出来ない人もいます。
 そして、大なり小なりの低血圧症状を伴い、その中の4人は生理不順や月経前悪化を伴っていることがわかりました。
 また、アトピー性皮膚炎の患者さん10人についてみますと、いずれも女性でその程度に強弱はありますが、すべてアレルギーを有し、10人ともに低血圧症候群を合併していることがわかりました。そして、その中の3人は生理の前に悪化するなど、更に内分泌との関係を思わせる症例でした。
 アレルギーと神経との関係につきましては、このホームページNo.122 皮膚のアレルギー性炎症と神経とのかかわり(2005/6/15)のところで詳しく述べておきましたし、これに関する治療上の得策として、最近開発された塩酸オロパタジン製剤(アレロック)の応用について、おなじくこのホームページのNo.118 かゆみとその対策〜新しい見地(2005/4/15)のところで解説しておきました。
 また、内分泌との関連が考えられる場合は、これも同じホームページのNo.114 プレグナンジオールの有用性 (2005/2/15) のところで述べておきましたのでご参照ください。

 そこで、これらを総合しますと、アレルギー性皮膚疾患、とくに慢性蕁麻疹などの治療に際しましては、アレルギーに対する処置は勿論ですが、場合によっては神経とくに自律神経並びに内分泌の影響を併せて考えた、いわゆる三位一体の概念に則った治療が必要と思う次第です。

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