夏に多い皮膚病と、その対策
NO.151 2006/7/17

 皮膚病にはいろいろありますが、季節によって随分違いがあります。では、夏になると皮膚病が多くなりますが、どうして多くなるのか、どのような皮膚病が多いのか、その手入れと対策について述べてみましょう。

夏になると、どうして皮膚病が多くなるのか

・先ず、気温が高くなり、汗や汚れで皮膚が刺激されることで皮膚病ができやすくなります。
・また、夏の服装は、半袖、短パンなど露出している部分が多く、とくに日光や毒虫にやられるなど、外からの刺激を受けやすくなります。

どのような皮膚病が多いか、その手入れと対策について

1)汗をかきやすいために、「あせも」等ができやすく、湿疹なども悪くなりやすい。
 「あせも」は汗をかいてそのままにしておいたり、不潔にしておいたために汗の孔がふさがれ、汗が汗管に停滞して起こる病気で、汗管が破裂すると「あせも」が赤くなったり、化膿したりします。
 それで、汗をかいたあとは、シャワーを浴びるとか、軽く入浴したりして、皮膚を清潔にしておくことです。

2)〜虫さされのいろいろ〜 このホームページ のNo.44 を参照のこと
 夏は虫たちが最も盛んに活動する季節です。キャンプに行ったりして虫に刺される機会が多くなります。
 高温・多湿でダニ類が異常発生し、目に見えない位の小さなダニに刺されて被害が続出することがあります。
 また、毛虫が「つばき」や「さざんか」に異常発生することがあり、その毛が刺さって独特の毛虫皮膚炎を呈する人も多くなります。

3)〜「とびひ」、「みずいぼ」にご用心〜 このホームページのNo.46 を参照のこと
 最近は、スイミング・スクールに行く人が多くなり、一般に夏はプール人口が多くななります。子どもの間で非常に伝染しやすいこの2つの皮膚病は、直接間接に皮膚接触の機会の多いプールが感染の場として重視されていますので、とくに注意しなければなりません。
 「とびひ」は黄色ぶどう球菌の感染によるもので、水疱内に多数の菌がいますので、接触によって他の部位にとびひして拡大し、家族内や幼稚園で蔓延することが多いのです。
 「みずいぼ」はウイルスの感染による皮膚病の1つで、病原ウイルスは人に感染するウイルスの中で最も大きく、人の表皮細胞、とりわけその基底細胞に感染し、表皮細胞の増殖を促し、その結果小さい半球状に隆起した小腫瘍をつくります。プールが感染の場としてリスクの高い環境になっていますが、長時間水に浸ることで皮膚の角質層がふやけるようになり、消毒の残留塩素によって皮脂が減少し、皮膚がカサカサになって、感染に対する皮膚の防御機能が低下します。この場合、ビート板(とくに共同使用)が感染ルートの一つになっています。なお、アトピー性皮膚炎の患者さんは、「みずいぼ」にかかりやすいので、注意しましょう。

4)〜海洋生物と皮膚疾患〜 このホームページのNo.45 を参照のこと 
 地球上の動物の80%は海に住んでおり、その数は50万種以上にのぼると推定され、この中にはするどい歯や「とげ」、あるいは毒針などによって海水浴時その他で皮膚を傷つけるものが少なくありません。
 一方、わが国は四方海に囲まれており、多くの人が海に親しみをもっています。また、何と言っても夏のレジャーは海が一番です。多くの人がレジャー・スポーツの一つであるスキン・ダイビングやスキューバ・ダイビングによって海底の探索や魚介類の捕獲を楽しみ、その結果、海に住んでいる生物によって障害をうけるケースが増えています。

※ 海にいる有毒生物 
 まず有名なものはクラゲです。クラゲは土用波の立つ7月下旬から8月上旬に海岸に漂着します。毒は触手にありますので、刺されると紐状に腫れた部分が生じることでわかります。
 ウニとヒトデは同じ棘皮動物に分類されるもので刺を持っています。この棘が刺さると皮膚に肉芽腫をつくることがありますので、完全に棘をとるよう処置することが大切です。
 海岸を素足で歩いたり、素手でウニを取ったりすると被害を受けますので、ビーチサンダルや軍手を着用するようにしてください。
 また、海水浴皮膚炎というのがありますが、海水浴中に水着で覆われた部分に痒みを感じ、時間の経過とともに点々とした赤い発疹から、広い範囲にわたって腫れあがり、掻き破ってひどくなる場合もあります。微小な動物性プランクトンによるものとされています。

5)〜とくに別府湾沿岸にみられるシロガヤ皮膚炎について〜
              このホームページの No.45 を参照のこと
            
 1970年8月、当地方で「鳥の羽根」と呼ばれ、海藻の一種と考えられているものによる皮膚炎の症例をはじめて経験しましたが、その後同じような症例を重ね、その7例(男5例、女2例)について検討した結果、いずれも海岸で、主として夏に発生しており、素もぐりで「さざえ」や「にいな」を採る人に起こるものであることがわかりました。
 また、当初海藻と思われていたものは実は「しろがや」といって腔腸動物門、ヒドロ虫綱に属するクラゲの仲間であることがわかり、これに触れるとクラゲと同様の皮膚炎を起こしますが、それは「シロガヤ」のヒドロ莢に含まれる刺胞に刺されて発生するものとして学会に発表しました。(1988年10月30日、第46回日本皮膚科学会大分地方会)

一般に、夏は日焼けを起こしやすくなります

 普段あまり外に出ない人が海水浴などで長時間日光にさらされますと、ひどい日焼けを起こします。ではこれを予防するにはどうしたらいいでしょうか。まず家へ帰ったらすぐにシャワーなどで汗や汚れを洗い流し、冷たいタオルで湿布することです。あまりひどい時はすぐに皮膚科で治療を受けることです。
 山や海、キャンプなどに行く時にはなるべく長袖のシャツを着て皮膚を保護するようにしましょう。さらに積極的には、水をはじくような性質をもった日焼け止めクリームをあらかじめ皮膚に塗っておいて海水浴などをすれば、なお良いでしょう。


 一般的に、虫刺されなどで皮膚炎がひどい時は、ありあわせの薬などをぬって自分勝手に処置をしないで、すぐに皮膚科を受診して専門的な治療を受けることをお勧めします。 その方が結局は早く、こじれないで済みます。

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