当クリニックにおける円形脱毛症の治療
NO.180 2012/5/17

今回は、円形脱毛症の治療をテーマに、当クリニックの実績をもとに纏めてみました。

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 この病気の診断にあたって大切なことは、問診や検査によってアトピーの有無を確認したり、血圧を測ったり、頭重感・肩凝りの有無を確めたるなど、必要に応じてDermographyを検査して病型をきめることですが、これが治療方針の決定に役立ちます。

※ 円形脱毛症と血圧 
 円形脱毛症の95症例について、その病型を単発型、多発型、全頭型、汎発型の4つに分け、これらを比較しますと次の表のようになります。
 即ち、交感神経緊張症の一つの特徴である精神性多汗症(手のひら、足の裏によく汗をかく人)は、脱毛症の悪性度と大体平行して診られることがわかりました。
 また、血圧との関係をみますと、多発型と称して次々に発生して再発を繰り返す治りにくいタイプでは低血圧を呈する人が比較的多く、これに対して最も治りにくい汎発型では全例高血圧を呈しました。
 従って、血圧が低すぎても高すぎても脱毛症の予後は良くないのではないかと考えました。
 以上は昭和58年(1983年)2月22日別府市医師会学術講演会で発表したものですが、このことは、その後20年以上経過する今日においても、なお変わらないものであることを再認識する次第です。




※ 円形脱毛症と甲状腺機能
 治療に抵抗する本症の8例について各種甲状腺機能検査を行い、甲状腺の働きの異常を伴う場合には、この病気は悪化しやすく、治りにくいことがわかりました。
 以上は、昭和50年(1975年)9月7日開催の日本皮膚科学会第33回大分地方会において発表したものです。

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 一般に、具体的には下記の治療法がいろいろ挙げられます。

注射 ノイロトロピン特号3cc静注,
   ノイロトロピン特号1A+ヒスタグロビン1V 皮下注
内服 グリチロン6T 又は セファランチン(1mg)3〜6T
   グリチロン6T+セファランチン3T
   グリチロン6T+リザベン3T(セルテクト2T)
   ビタミンE + γ−オリザノール(とくに低血圧症ある場合)
外用 トプシムローション

 とくにアレルギーのある場合には抗アレルギー療法も加味して治療しなければなりませんが、抗アレルギー剤で何を使ったらいいか、考えてみたいと思います。
 いろいろな抗アレルギー剤の中でとくに注目すべきものに 塩酸オロパタジン製剤(アレロック)があります。
 本症の原因の一つに精神的ストレスがあげられますが、先のホームページでもお話しましたように、精神的ストレスによってT細胞系機能が変化することが知られておりますし、この場合サブスタンスPはストレスにより誘発される様々な行動や神経科学的反応にも関与しており、抗不安剤や抗うつ剤によってサブスタンスPの生合成の低下が引き起こされるという報告もあります。
 最近開発された塩酸オロパタジン製剤(アレロック)には、従来の抗アレルギー作用(ヒスタミンH1受容体拮抗作用、ヒスタミン遊離抑制作用)の他、このサブスタンスP遊離抑制作用のあることがわかってきました。このことを再認識して、治療に応用する必要があると思います。また、場合によっては、ヒスタグロビンとノイロトロピンの併用療法も必要です。

掘,箸に理学療法 について

1.紫外線照射療法
 a. 従来の紫外線照射療法
 b. UVB療法・ナローバンドUVB療法・・・本ホームページのNo,178〜179.で述べたように、当クリニックでは2012年2月以降実施しています。

2.冷凍療法
 わたしは嘗て、フレオンガス(フレオン‐12)スプレーを10人の患者さん(円形脱毛症)の皮膚に3秒間あてて、その前後の皮膚温を測定したことがあります。
 これによりますと、スプレーをあてた直後、局所の皮膚温は急速に下がりますが、3〜10分すると皮膚の温度はスプレー前より高くなり、これが10〜30分続くことを発見しました。 そして、これはスプレー後にみられた反応性充血によるものと思った次第です。 この場合、あまり凍結力の強い冷却剤は必要としません。 
 この効果を円形脱毛症の患者さん20人に応用しましたところ、次表のように、その75%に有効で、治療開始より発毛までの期間をみますと、1〜3ヶ月となっており、その40%は2ヶ月でした。 




3.低出力レーザー照射療法
(ソフトレーザー療法)
a.ソフトレーザー1000mW 15秒局所に照射
 低出力レーザー治療には血行促進、細胞分裂の活性化作用があるため、頭皮に 照射すれば育毛効果への期待が持てます。
(低出力レーザー療法で行う育毛は2007年にはじめてアメリカFDAで承認)
b.ソフトレーザーによる ツボ刺激療法(百会,天柱)
 1975年、中国で初めてレーザーによる経穴への照射を行ってその有効性が認められ、1977年に“レーザー鍼”という言葉が誕生しました。この理論に着目して、発毛の『ツボ』である頭の百会、天柱を中心に低出力レーザーを照射し、発毛を促すことを思いつき、1993年2月以降円形脱毛症の治療に応用しています。
 照射:百会、天柱に夫々15秒あてのほか、脱毛局所にもその面積に応じ、約1cm間隔で15秒ずつの照射を行っています。 



[症例]33歳 男性:多発性円形脱毛症(アトピー鑑別試験陽性・IgE 1230)
・ノイロトロピン・ヒスタグロビン皮下注射による非特異的減感作療法に、 
・セファランチン+アレグラ内服と、
・トプシムローション外用を併用しながら、メディレーザーソフト1000mWのソフトレーザーを1〜2週に1回、発毛のツボである百会、天柱に一点15秒ずつ照射を続けたところ、治療後3ヶ月位で一部に軟毛の発育がみられ、上図のように、治療後8カ月で発毛は著明となり、正常に近くなりました。
      

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